管理図(I-MR)の作成
1個ずつ測った値を順に貼ると、個々の値の管理図(I)と移動範囲の管理図(MR)の中心線と管理限界を計算して図にします。限界の外に出た点も示します。入れた値はどこにも送らず、この端末の中で計算します。
入力
例の値は計算を試すための作り物の数字です(乱数で作った30個)。22個目だけ、わざと上にずらしています。
結果
| 値の数(k)/移動範囲の数 | |
|---|---|
| I 管理図の中心線(平均 X) | |
| I 管理図の UCL / LCL | |
| MR 管理図の中心線(移動範囲の平均 MR) | |
| MR 管理図の UCL / LCL | |
| 限界の外に出た点 |
限界の外の点が出たら、その値を測ったときに何があったかを作業の記録と照らします。限界の外の点がなくても、並びに癖がないかを図で見ます。値の数が少ないうちは、管理限界がぶれやすくなります。
使い方
- 1回に1個しか測らない値を、測った順に集めます。ロットごとの濃度や粘度、1日1回の測定、破壊試験の結果などです。
- Excel の1列をコピーして貼ります。日付や番号の列は外します。1行目が見出しなら、その行は飛ばします。
- 「計算する」を押します。番号(No.)は、貼った順に1、2、3…と振ります。
- 図で、限界の外に出た点を見ます。その値を測ったときに何があったかを、作業の記録と照らして確かめます。
- この道具は合否を決めません。管理限界は規格とは別のものです。
1回に何個かずつ測れるなら(1時間に5個など)、X-R 管理図の作成を使います。
計算の考え方
隣り合う2つの値の差の大きさ(移動範囲 MR)を出し、その平均から、値のばらつきを見積もります。式は米国 NIST の統計ハンドブックに合わせています。
MR(i 番目)= | i 番目の値 − (i−1) 番目の値 | ※1番目には無い
X = 全部の値の平均
MR = 全部の MR の平均
I 管理図 中心線 = X
UCL = X + 3 × MR ÷ 1.128
LCL = X − 3 × MR ÷ 1.128
MR 管理図 中心線 = MR
UCL = 3.267 × MR
LCL = 0
1.128 は、2個の値の範囲から標準偏差を見積もる係数 d2(n=2 のとき)です。3.267 は、範囲の管理図の係数 D4(n=2 のとき)です。移動範囲は2個ずつの範囲なので、どちらも n=2 の値を使います。
この計算が成り立つ前提
- 測った順に並んでいること。移動範囲は隣どうしの差なので、順番を並べ替えると結果が変わります。
- 分布が正規分布に近いこと。1個ずつの値をそのまま点にするので、片側に長く裾を引くデータでは、限界の外に出る割合が想定と変わります。
- 値の数。値が少ないと、管理限界はぶれやすくなります。NIST は、限界を多くないデータから計算したとき、誤った警報の起きやすさが想定と違うことがあると書いています。何個以上と決めた数字は、個々の値の管理図の節にありません。
Cp・Cpk は安定を確かめてから
限界の外の点がなく、並びにも癖がないと確かめてから、Cp・Cpk の計算に進みます。
関連するガイド
- X-R 管理図の作成=1回に何個かずつ測る工程の道具
- 工程能力指数(Cp・Cpk)の計算=管理図で安定を確かめたあとに使う道具
- 工程能力指数 Cp・Cpk の読み方と計算式=安定を確かめたあと、客先に出す指数の読み方と添える項目
- 管理図の選び方と読み方=データの種類から管理図を選ぶ。管理限界と規格の違い、管理限界の外と並びの癖の見方
- 測定の繰り返し性(簡易 GR&R)=移動範囲には測定の揺れも乗ります
出典
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods, 6.3.2.2 Individuals Control Charts(移動範囲の定義・I 管理図の式・1.128=n=2 の d2)
- 同 6.3.2.1 Shewhart X-bar and R and S Control Charts(n=2 の D4=3.267・D3=0)
- 同 6.3.2 What are Variables Control Charts?(限界を多くないデータから計算したときの、誤った警報の起きやすさのずれ)
- 同 6.3.1 What are Control Charts?(片側に裾を引く分布では、限界の外に出る割合が変わること)
確認日:2026年10月7日