管理図(X-R)の作成
群ごとの測定値を貼ると、X 管理図と R 管理図の中心線と管理限界を計算して図にします。限界の外に出た点も示します。入れた値はどこにも送らず、この端末の中で計算します。1回に1個しか測れない値なら、I-MR 管理図の作成を使います。
入力
例の値は計算を試すための作り物の数字です(乱数で作った5個×25群)。19群目だけ、わざと平均を上にずらしています。
結果
| 群の大きさ(n)/群の数(k) | |
|---|---|
| 使った係数 | |
| X 管理図の中心線(総平均 X) | |
| X 管理図の UCL / LCL | |
| R 管理図の中心線(範囲の平均 R) | |
| R 管理図の UCL / LCL | |
| 限界の外に出た点 |
NIST は、限界の外の点が出たら工程が管理された状態にない見込みが高いとみて、原因を調べて取り除くとしています。限界の外の点がなくても、並びに癖がないかを図で見ます。
群ごとの X と R を見る
| 群 | X | R | 限界の外 |
|---|
使い方
- 群ごとに測定値を集めます。群の大きさ n(1群の値の数)は2〜10で、どの群も同じ数にします。
- Excel で1行に1群となるように並べ、その表をコピーして貼ります。群の番号や日付の列は外します。1行目が見出しなら、その行は数えずに飛ばします。
- 「計算する」を押します。群の番号は、貼った順に1、2、3…と振ります。
- 図と一覧で、限界の外に出た点を見ます。その群で何があったかを、作業の記録と照らして確かめます。
- この道具は合否を決めません。管理限界は規格とは別のものです(下の「合否を出さない理由」)。
計算の考え方
群ごとに平均 X と範囲 R を出し、それぞれの平均から中心線と管理限界を決めます。式と係数は米国 NIST の統計ハンドブックに合わせています。
A2・D3・D4 は、群の大きさ n だけで決まる係数です。A2 は R を「X の標準偏差の3倍」に直す数で、A2 = 3 ÷ (d2√n) です。d2 は、範囲の平均から標準偏差を見積もる係数です。
限界は、中心線から標準偏差の3倍の位置に引きます(3シグマの限界)。NIST によると、工程が変わらなくても、限界の外の点は平均で約371点に1回出ます。
使っている係数(NIST の表の値)
| n | A2 | D3 | D4 |
|---|---|---|---|
| 2 | 1.880 | 0 | 3.267 |
| 3 | 1.023 | 0 | 2.575 |
| 4 | 0.729 | 0 | 2.282 |
| 5 | 0.577 | 0 | 2.115 |
| 6 | 0.483 | 0 | 2.004 |
| 7 | 0.419 | 0.076 | 1.924 |
| 8 | 0.373 | 0.136 | 1.864 |
| 9 | 0.337 | 0.184 | 1.816 |
| 10 | 0.308 | 0.223 | 1.777 |
n が6以下では D3 が0なので、R 管理図の LCL は0です。範囲は0より小さくならないので、下側に外れる点は出ません。
限界の外のほかに見る並び
点がすべて限界の内側でも、並びに癖があれば工程に何か起きている疑いがあります。NIST は例として、30点のうち初めの25点が中心線より上で、残る5点が下にある場合を挙げています。
こうした並びを見る規則に、「中心線の片側に8点続く」などの Western Electric の規則があります。NIST は、これを足すと誤った警報が平均で約371点に1回から約92点に1回に増えると書いています。この道具は限界の外の点だけを示します。並びの癖は図を見て判断します。
合否を出さない理由
管理限界は規格ではありません。NIST は、管理限界は工程が管理された状態にあるかを見るもの、規格は製品が狙いどおりに働くかを見るもの、と分けています。管理限界はデータから計算で決まり、図面の公差とは関係がありません。
X 管理図の点は群の平均です。点が限界の内側でも、一つひとつの値が規格の外にあることはあります。
Cp・Cpk は安定を確かめてから
NIST は、工程能力を「管理された状態の工程」の出来と規格を比べるものとしています。限界の外の点がなく、並びにも癖がないと確かめてから、Cp・Cpk の計算に進みます。
この計算が成り立つ前提
- 群の数。NIST はシューハートの経験則を引いています。大きさ4の群を同じ条件で25個以上集め、それが管理された状態で並んではじめて、安定と言える、という趣旨です。この道具は、群が25個未満だと注意を出します。
- 群の大きさ。NIST は、範囲を使うこの方法は n が10くらいまでなら十分としています。それより大きい群には、群ごとの標準偏差を使う方法が向きます。この道具は n=2〜10 に対応します。
- 分布が正規分布に近いこと。R 管理図の限界は、測る値が正規分布に従うとして導かれています。片側に長く裾を引くデータでは、限界の外に出る割合が想定と変わります。
- 限界を引き直す時期。NIST は、はっきりした理由があるときだけ限界を引き直すとしています。例として、工程に変化がないまま30点以上が増えたとき、工程を大きく変えたときを挙げています。
関連するガイド
- 管理図(I-MR)の作成=1回に1個しか測れない値の管理図の道具
- 工程能力指数(Cp・Cpk)の計算=管理図で安定を確かめたあとに使う道具
- 工程能力指数 Cp・Cpk の読み方と計算式=安定を確かめたあと、客先に出す指数の読み方と添える項目
- 管理図の選び方と読み方=データの種類から管理図を選ぶ。管理限界と規格の違い、管理限界の外と並びの癖の見方
- 検査の繰り返し性を確かめる「同じ人・同じ物・10回」の測り方=測定のばらつきが大きいと、群の中の範囲 R も大きく出ます
- 測定の繰り返し性(簡易 GR&R)=測定の揺れが公差幅の何%にあたるかを出す道具です。群の中の範囲 R に、測定の揺れがどれだけ乗っているかの見当が付きます
出典
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods, 6.3.2.1 Shewhart X-bar and R and S Control Charts(式・係数の表・約371点に1回)
- 同 6.3.2 What are Variables Control Charts?(管理限界と規格の違い・群の数・限界を引き直す時期・Western Electric の規則)
- 同 6.3.1 What are Control Charts?(限界の外の点と、並びの癖)
- 同 6.1.6 What is Process Capability?(工程能力は管理された状態の工程について求める)
確認日:2026年9月28日