数える値の管理図(p・np)
群ごとに検査した数と不良の数を貼ると、np 管理図(不良の数)と p 管理図(不良率)の中心線と管理限界を計算して図にします。限界の外に出た点も示します。入れた値はどこにも送らず、この端末の中で計算します。長さや重さのように測った値なら、X-R 管理図か I-MR 管理図を使います。
入力
記入例は計算を試すための作り物の数字です。1つ目は1群500個を20群検査した例で、14群目だけ、わざと不良を多くしています。2つ目は群の大きさが390〜610個の10群で、線が群ごとに変わる例です。
結果
| 群の数(k)/検査した数の合計/不良の数の合計 | |
|---|---|
| 除いた群 | |
| 不良率の平均(p) | |
| 群の大きさ(n) | |
| 中心線 | |
| UCL / LCL | |
| 限界の外に出た点 |
この道具が判定するのは、限界の外に出た点だけです。上側の外は、その群で何があったかを作業の記録と照らして、原因を調べます。下側の外は、良くなったとは限りません。検査の見落としや、検査の基準の変更も疑います。点の並びの規則(同じ側に点が続くなど)は判定しません。見方は管理図の判定ルールにまとめています。
群ごとの値と限界を見る
使い方
- 同じ検査のやり方で、群ごとに「検査した数」と「不良の数」を記録します。群は、日・ロット・直などで区切ります。不良の数は、不良品の個数です。
- まず20〜25群をためます。Excel で「検査した数」「不良の数」の2列に並べ、その表をコピーして貼ります。群の番号や日付の列は外します。1行目が見出しなら、その行は飛ばします。
- 「計算する」を押します。群の番号(No.)は、貼った順に1、2、3…と振ります。
- 群の大きさ(検査した数)がすべて同じなら、np 図(不良の数)と p 図(不良率)を切り替えて見られます。群の大きさが違うときは p 図になり、線は群ごとに引かれます。
- 図で、限界の外に出た点を見ます。その群で何があったかを、作業の記録と照らして確かめます。原因が分かって手を打った群は「除いて引き直す」で外し、残りの群で線を引き直します。
- 引き直した線は、工程を変えるまで、次の群にもそのまま使います。工程を変えて不良が減ったら、新しい群で線を引き直します。
- この道具は合否を決めません。管理限界は、工程のいまの不良率から計算した線で、客先と決めた許容の不良率とは別のものです。
傷の数のように、1個の中の欠点を数える値は、c 管理図・u 管理図を使います。この道具は、不良品の個数だけを扱います。選び方は管理図の選び方と読み方に書いています。
計算の考え方
不良の数は、1個ごとの不良になる確率が同じで、互いに関係しないと考えると、二項分布になります。平均は n p、ばらつきを表す分散は n p (1 − p) です(n=その群の検査した数、p=不良になる確率)。この平均から標準偏差の3倍の位置に、管理限界を引きます。式は米国 NIST の統計ハンドブックと、JIS Z 9020-2:2016 の計数値管理図の箇条に合わせています。
p は分からないので、全部の群の合計から見積もります。
np 図は、群の大きさ n がすべて同じときに使います。縦軸は不良の数です。p 図は、縦軸が不良率で、n が群ごとに違っても使えます。n が違えば線も群ごとに違い、n が小さい群ほど幅が広くなります。
群の大きさが違うとき
この道具は、群の大きさがすべて同じなら np 図と p 図を切り替えて出し、違えば p 図を群ごとの線で出します。JIS Z 9020-2 の計数値管理図の箇条は、群の大きさの変動が平均の±25%以内なら、平均の n で1組の線にしてよいとしています。どの群も平均の n から±25%以内のときは、「平均の n で1組の線にする」切り替えを出します。
下側の線が負になるとき
下側の線(LCL)が負になるときは、線を引きません。不良の数も不良率も負にならないので、下側に外れる点は出ません。
下側の線より下に出た点は、良くなったとは限りません。検査の見落としや、検査の基準をゆるめていないかも確かめます。JIS Z 9020-2 の計数値管理図の箇条も、下側の線を下回った点は、低い基準で検査している可能性があるとして、上側の外とは分けて扱っています。
限界の外の群を除いて引き直す
限界の外に出た群は、まず原因を調べます。原因が分かって手を打った群は、除いて、残りの群で線を引き直します。原因が分からない群を除くと、線が実際より狭くなります。「除いて引き直す」は、上側の外と下側の外の両方の群を除くので、下側の外の群は、検査の見落としなどを確かめてから使ってください。除いた群の番号は、結果の表に残します。
この計算が成り立つ前提
- 不良になる確率が群の間で同じで、1個ごとに互いに関係しないこと。二項分布はこの前提です。同じ原因でまとめて不良になることが多い工程では、限界の外に出る割合が想定と変わります。
- 群の数。まず20〜25群をためて線を引きます。群が少ないうちは、管理限界がぶれやすくなります。この道具は、群が20個未満だと注意を出します。
- 不良の決め方と検査のやり方を変えないこと。群ごとに判定の基準が変わると、不良率の変化が、工程の変化なのか基準の変化なのか分からなくなります。
この道具が判定しないこと
合否、工程能力、点の並びの規則(同じ側に点が続くなど)は判定しません。並びの規則の点数は資料によって違うので、管理図の判定ルールで確かめます。
関連するガイド
- X-R 管理図の作成=数個ずつ測る値(長さ・重さなど)の道具
- 管理図(I-MR)の作成=1回に1個しか測れない値の道具
- 管理図の選び方と読み方=データの種類から管理図を選ぶ。p・np・c・u の式と、計量値か計数値かの分け方
- 管理図の判定ルール:7・8・9点の違いと使い分け、誤報の増え方=限界の外のほかに見る、点の並びの規則
- 是正処置報告書の書き方:分けて書く3つの欄と差し戻される3つの所=限界の外の原因を調べて、報告書に書くとき
出典
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods, 6.3.3.2 Proportions Control Charts(不良の数が二項分布になること・p 図の中心線と3シグマの管理限界・p が分からないときは m 群のデータから合計で求めること)
- JIS Z 9020-2:2016 管理図―第2部の計数値管理図の箇条(np 図は群の大きさが同じとき、p 図は群の大きさが変わっても使うこと・群の大きさが変わるときの限界の計算と±25%・計算した下限が負のときの扱い・下側の外の見方・外れた群を除いて引き直すこと)。最新の2025年版は未確認です。表の値や例は規格票で確かめてください。
確認日:2026年11月2日