測定の不確かさの見積もり(バジェット表)
校正証明書の不確かさ、測定器の最小表示、繰り返し測定のばらつき、温度の影響などを表に入れると、成分ごとの標準不確かさと、合成標準不確かさ、拡張不確かさを計算します。許容差を入れると、拡張不確かさとの比も出します。入れた値はどこにも送らず、この端末の中で計算します。合否は決めません。
入力
| No. | 成分名 | 種類 | 入れる値 | 除数 | 感度係数 c | 標準不確かさ u | 操作 |
|---|
記入例の数字は、計算を試すために作った例です。実在の校正証明書の値ではありません。ノギスの例は、最小表示 0.01 mm、校正証明書の U = 0.02 mm(k = 2)、繰り返し測定 10 回の値、温度の半幅 0.002 mm です。外側マイクロメータの例は、最小表示 0.001 mm、U = 0.0015 mm(k = 2)、繰り返し測定 10 回の値(3 回測った平均を結果に使う)、温度の半幅 0.0004 mm です。
繰り返し測定の「結果に使う測定の回数 m」は、測定結果に使う値が何回の読みの平均かを表します。1回の読みをそのまま結果にするなら 1、3回測った平均を結果にするなら 3 です。感度係数 c は、その成分が測定結果にそのまま足し引きされるなら 1 のままにします。
結果
| 合成標準不確かさ uc | |
|---|---|
| 包含係数 k | (空欄なら 2。およそ95%の目安) |
| 拡張不確かさ U = k × uc |
成分ごとの寄与
| 成分 | u | c | c × u | 割合(%) |
|---|
割合は、(c × u)² を全部足した合計に占める割合です。大きい成分から手を打つと、U が下がります。
使い方
- 測る量と単位を決めます。表に、不確かさの成分を1行ずつ書きます。よく使う成分は、校正証明書、測定器の最小表示、繰り返し測定、温度などの環境です。
- 行ごとに種類を選び、値を入れます。校正証明書は U と k、最小表示は d、温度などは半幅 a を入れます。繰り返し測定は、同じ物を同じ条件で測った値を貼ります。
- 感度係数 c は、ふつうは 1 のままです。測定結果が、その成分の値の何倍で動くかが分かるときだけ変えます。
- 合成標準不確かさと拡張不確かさが出ます。寄与の割合が大きい成分を見ます。許容差を入れると、拡張不確かさとの比が出ます。
計算の考え方
成分ごとに標準不確かさ u(標準偏差で表した不確かさ)を求め、それを二乗して足し、平方根を取ります。種類ごとの式は、JCGM 100:2008(GUM)の次の箇条によります。
校正証明書:u = U ÷ k (GUM 4.3.3)
分解能:u = d ÷ (2√3) (GUM F.2.2.1。幅 d の矩形分布)
半幅(矩形):u = a ÷ √3 (GUM 4.3.7)
繰り返し:u = s ÷ √m (GUM 4.2.3 の考え方)
合成:uc = √( Σ (c × u)² ) (GUM 5.1.2)
拡張:U = k × uc (GUM 6.2.1)
- 校正証明書。証明書に「U = 0.02 mm、k = 2」とあれば、u = 0.02 ÷ 2 = 0.01 mm です(GUM 4.3.3)。
- 分解能。表示が 0.01 mm きざみなら、真の値は表示の前後 0.005 mm のどこにあってもおかしくないと考えます。幅 d の矩形分布の標準偏差は d ÷ √12、つまり d ÷ (2√3) です(GUM F.2.2.1)。
- 半幅(矩形)。温度の影響などで、「この幅の中のどこかに入る。分布の形は分からない」ときは、半幅 a の矩形分布とみなして u = a ÷ √3 とします(GUM 4.3.7)。
- 繰り返し。s は貼った値の標準偏差(n − 1 で割る)です。結果に m 回の平均を使うなら、平均の不確かさは s ÷ √m です(GUM 4.2.3 の考え方)。1回の読みをそのまま結果にするなら、m = 1 で u = s です。
- 合成。成分は互いに無関係とみなして、(c × u)² を足して平方根を取ります(GUM 5.1.2)。
- 拡張。U = k × uc です(GUM 6.2.1)。k = 2 は、およそ95%の区間になる目安です。この道具は自由度を扱いません。繰り返しの回数が少ないと、k = 2 の区間に入る確率は95%より低くなります。1つの成分だけが大きいときも、95%からずれます。
注意
- 相関のある成分は扱いません。同じ標準器で校正した2つの量や、同じ温度の影響が2つの成分に入るときなど、成分が互いに無関係と言えない場合は、この合成のしかたが成り立ちません(GUM 5.2)。
- 表に書いた成分だけが入ります。測る物そのもののばらつき(部品ごとの寸法差、形の崩れ)、測る人による差、測定面の摩耗やがた、ゼロ点合わせの不確かさは、行を足して自分で見積もらない限り入りません。
- 証明書の不確かさは、書かれた条件の値です。「少なくとも95%」のように、標準偏差の何倍かが分からない書き方の不確かさは、k で割れません(GUM F.2.3.2)。校正した点と、実際に使う範囲が違うときも、証明書の値をそのまま使えるかを確かめます。
関連するガイド
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出典
- JCGM 100:2008 Evaluation of measurement data — Guide to the expression of uncertainty in measurement(GUM)(4.2.3 平均の実験標準偏差/4.3.3 証明書の不確かさを k で割る/4.3.7 矩形分布/F.2.2.1 デジタル表示の分解能/5.1.2 合成標準不確かさ/6.2.1 拡張不確かさ/5.2 相関のある入力量/F.2.3.2 「少なくとも」の信頼水準の不確かさ)
確認日:2026年11月7日