段取り替えや始業のあとに、最初にできた製品を量産の前に確かめる「初物確認」のガイドです。私は品質保証の仕事で、工程の初物確認の決まりを作り直したことがあります。参照した資料の改版があれば書き直します(確認日:2026年10月7日)。
- 場面
- 段取り替え、刃具や型の交換、始業のあと、最初にできた製品で量産に入ってよいかを決める
- 対象
- 機械加工・プレス・成形など、段取りで寸法や外観が動く工程。新規品や変更点の「初物管理」は最後の節で分けて扱う
- 使うもの
- 図面と検査規格書、初物確認の確認表、測定器。あれば前回の終物(その段取りで最後にできた製品)
- 要点
- 確かめる時を決め、段取りをした人とは別の人が、段取りで動く所から確かめる。合格の記録が残るまで量産の品を流さない
初物確認は、段取りが正しくできたかを製品で確かめる作業です。段取りの手順書どおりに機械を合わせても、刃具の摩耗や型の付け違い、材料のロットの違いで、最初の製品が規格から外れることがあります。初物で外れに気づけば、外れた品は確認までにできた分で止まります。
決めることは5つです。いつ確かめるか、だれが確かめるか、何を確かめるか、何を記録に残すか、外れたときにどうするか。この5つが決まっていないと、忙しい日ほど確認が後回しになり、確認の前に作った品が量産の品に混じります。
いつ確かめるか
段取りで製品の出来が動く時を、確認のきっかけとして決めておきます。
| きっかけ | 中身 |
|---|---|
| 始業 | その日、その班で最初に機械を動かしたとき |
| 段取り替え | 品番を替えたとき、同じ品番でも型や治具を付け直したとき |
| 刃具・型の交換 | 摩耗や破損で刃具や型の部品を替えたとき |
| 条件の変更 | 加工条件や成形条件の設定を変えたとき |
| 材料の切り替え | 材料のロットを替えたとき。材料の種類や仕入先が変わる場合は、最後の節の変更点として扱う |
| 長い停止のあと | 故障や材料待ちで止めたあと、動かし直したとき。どれだけ止まれば対象にするかは、工程ごとに決める |
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の検査工(工業製品)に、金属加工製品の検査の例があります。同一製品のうち、最初に検査した製品、全体の製品数の一定割合ごとの時点で検査した製品、最後に検査した製品について、全項目の検査結果を記録する、という流れです。job tag は「初物」とは書いていません。このガイドでは、最初に検査した製品の確認を初物確認として扱います。
だれが確かめるか
段取りをした人のほかに、もう1人が確かめます。段取りをした人は、自分が合わせた所を正しいと思って見るので、付け違いを見落としやすくなります。確認する人は班長、検査の担当、別の作業者のどれでもよい。工程ごとに決めて、確認表に名前の欄を設けておきます。
確認が済むまでにできた品は、量産の品と分けて置きます。置き場を決めておかないと、確認の結果を待つ間にできた品が、そのまま次の工程へ流れます。合格したあとは、置いた品を量産の品に加え、その数を確認表に残す手順です。
何を確かめるか
確認表の項目は、段取りで動く所から並べます。図面の項目が多い品番で全項目を毎回測ると、時間がかかり、確認そのものが省かれやすいからです。段取りで動く寸法、型や治具の付け違いで変わる向きや位置、刻印や表示、外観を先に置きます。job tag の例は約20項目を5分ほどで確認する工程で、最初の製品は全項目を記録しています。項目が少ない品番は、全項目を確かめても構いません。
確かめる個数も工程ごとに決めます。多数個取りの型は、キャビティごとに1個ずつ確かめます。
前回の終物があれば、初物と並べて比べます。終物は前の段取りで最後にできた品なので、型の傷が終物に出ていれば、次の初物でも同じ所を見ます。刃具を替えずに続けるなら、摩耗の進み具合も終物と比べる対象です。
記録に残すこと
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 日時・品番・ロット | 確認した日時と、作っている品番とロット |
| きっかけ | 始業、段取り替え、刃具の交換など、上の表のどれか |
| 項目と値 | 確認表の項目ごとの測定値か、外観の合否 |
| 判定と確認者 | 合否と、段取りをした人・確かめた人の名前 |
| 量産を始めた時刻 | 合格のあと量産に入った時刻。確認の前にできた品の数と置き場 |
量産を始めた時刻を残しておくと、後でその段取りの品に不具合が見つかったとき、どこから調べるかを時刻で区切れます。
外れたとき
初物が規格から外れたら、量産に入らずに段取りへ戻ります。直したあとは、もう一度最初の製品で確かめ、2回目の値も記録に残します。外れた初物は不適合品です。確認の前にできた品は、適合を確かめるまで同じ扱いにします。どちらも識別の札を付けて分け、流してよいと判断されるまで流しません。同じきっかけで外れが続くなら、見直す先は段取りの手順書か確認表の項目です。
新規品と変更点の初物
「初物」は、新規品や、変更点(材料・工程・設備・外注先などを計画して変えること)のあとの品を指すこともあります。取引先向けの品質保証マニュアルに、この意味の初物の決まりを置いている例があります。株式会社アーレスティの第2版(第7章「初物管理」)の定めは、次のとおりです。
- 対象:新規品、変更点・変化点で申請が要る内容、不適合品の手直し品、特採品、設計変更品など
- 識別:初物品の識別は同社の指示による
- 旧品:工程で初物の対象が出たら旧品を先に出し、初物品に切り替えたあとは旧品を流さない。同社の指示があれば、初物品を先に流す
- 記録:初物として管理する製品(容器)は、内容、発行年月日、対象個数などを明確にする
同じマニュアルの第4章では、量産認定された新規部品の初期流動管理で、初品検査を原則として図面の全特性で行い、検査データを同社へ提出するとしています。段取りのあとの初物確認とは、確かめる範囲が違います。
中部経済産業局のサイトに掲載されている航空機部品向けのガイドブックには、サプライヤー向けのチェックリストがあります。初回製品検査(FAI)の手順を定めているかを確かめる項目があります。FAI は、初回製品に対して実施する特別な検査、確認の手続きです。同じ項目には、顧客要求または AS/EN/SJAC9102 に準拠しているか、図面、製造方法、検査方法、調達先などの変更に対する部分FAI(ΔFAI)を実施するか、という確認も含まれます。FAI や新規品の初物の中身は客先の要求で決まるので、変更の申請の手順とあわせて確かめてください。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「検査工(工業製品)」/アーレスティ「取引先のための品質保証マニュアル【商品】」第2版(2023年4月5日発行)/中部経済産業局のサイトに掲載されている「航空機部品産業における生産管理・品質保証ガイドブック」(PDF)
私なら、確認表の項目を段取りで動く所に絞ってから、確かめる人を工程ごとに決めます。
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材料・工程・設備を変える前に、客先へ申請する範囲と、初物検査の項目を含む申請書の6つの欄。

ロットから抜き取って合否を決めるときの、ロットの切り方(段取り替えの所で切る)と JIS の表の引き方。

免責:このページは、製造現場でよくある場面をもとにした事例と、書式・手順の作例です。確認のきっかけと項目は例です。工程ごとの決まりは、客先の要求と社内の手順書で確かめてください。