QCサークルの発表資料を、日科技連の問題解決型 QC ストーリーの順に1ステップ1枚で組むガイドです。参照した資料の改版や大会の案内の変更があれば書き直します(確認日:2026年10月11日)。
- 場面
- QCサークルの発表(社内の発表会や外部の大会)に向けて、資料を一から組むとき、または組んだ資料を見直すとき
- 対象
- 現状とねらいにギャップがあり、原因を追究して対策する改善活動(問題解決型)。課題達成型・施策実行型・未然防止型と、運営事例・推進事例は対象外
- 使うもの
- 活動の記録(現状のデータ、特性要因図、対策の評価表、対策前後のデータ)、発表時間、ものづくりポータルの A3 整理シート(記事の後半で案内)
- 要点
- 7つの手順に前後の4枚を足した11枚を、発表時間から逆算して配る。1枚には結論を1つだけ置き、見出しはその結論の文にする
発表資料は、日科技連が示す QC ストーリーの順に、1ステップ1枚で並べれば組み上がります。QC ストーリーは、改善活動のあとに成果を報告するときの筋書きです。問題解決型の手順は7つで、発表ではその前に「はじめに」「QCサークルの紹介」「工程の概要」を、最後に「反省と今後の進め方」を付けて、全部で11のステップになります。
私は QC サークルで、発表する側も審査する側も経験しています。この記事の数値は、すべて説明用の作例です。
11のステップと1枚に載せるもの
ステップの名前と順番は、日科技連の連載「改善の手順 ~QCストーリーとその選択~」(須加尾政一 著)の第2回と第3回によります。連載は、問題解決の7つに手順1〜7の番号を振っています。報告の筋書きの表(QCストーリーの基本ステップ)は11のステップで、問題解決の7つはその4番目から10番目です。呼び分けは、問題解決の7つが「手順」、発表の11が「ステップ」、スライドは1枚目から11枚目です。
- 1枚目 はじめに:テーマ名、活動の結果を1行、発表の流れ
- 2枚目 QCサークルの紹介:サークル名、人数、担当する職場、会合の頻度
- 3枚目 工程の概要:取り上げる工程の流れを図1つで。問題が出る場所に印
- 4枚目 テーマの選定:問題点を方針・期待効果・実現性などで評価した表、選んだ理由、テーマ名
- 5枚目 現状の把握と目標の設定:改善対象の推移やばらつきのグラフ、層別で分かったこと、目標の3要素(何を=改善対象、いつまでに=期限、どうする=目標値)
- 6枚目 活動計画の作成:実施事項ごとの日程と役割分担を並べた活動計画表
- 7枚目 要因の解析:特性要因図(重要要因に印)、データで検証した結果、対策をとる原因
- 8枚目 対策の検討と実施:対策案の系統図と評価(期待効果・費用・実現性など)、実施する対策、時期と担当
- 9枚目 効果の確認:目標と比べた対策前後の数字、効果金額や他への影響、サークルや個人の成長
- 10枚目 標準化と管理の定着:改訂した標準、周知と教育、守られているかを確かめる方法
- 11枚目 反省と今後の進め方:活動の良かった点と残った課題、次のテーマ
4枚目から10枚目の中身は、連載の各手順の説明にそろえてあります。1〜3枚目と11枚目は、連載の第2回・第3回に内容の説明がなく、載せるものは私の勧めです。テーマ名は、連載が「〇〇における△△の××」の形を勧めています。〇〇は範囲、△△は良くしたい対象、××はどうしたいかです。
1枚の見出しは、その枚の結論を文で書きます。「要因の解析」のようなステップ名だけの見出しでは、その枚で何を言いたいのかが見出しから分かりません。2枚目と3枚目の結論は「誰が、どの工程を扱うか」で、見出しもその文にします。次は、作例の見出しです。
| 枚 | 見出しの作例 |
|---|---|
| 1 | 第2組立工程の外観不良を、月平均20件から7件に減らした |
| 5 | 外観不良は月平均20件で、うち傷が14件(70%)を占める |
| 7 | 傷の原因は、治具の受け面のバリと、トレイ内の接触の2つだった |
| 8 | 原因ごとに、面取りと仕切り付きトレイの2つの対策を実施した |
| 9 | 外観不良は月平均7件になり、目標の8件以下を達成した |
| 11 | 次は第3組立工程の外観不良に、同じ手順で取り組む |
要因の解析は図が多くなるので、私は7枚目だけ2枚に分けてもよいと考えます。分けた分の時間は、次の節の配分の中で割ります。
発表時間15分の配り方
日科技連の QC サークル全国大会は、1件あたり20分で、発表15分・質疑応答5分です(2026年度の案内)。質疑の5分は発表の15分に含まれません。大会によって時間は違い、QCサークル北海道支部の室蘭大会(2025年10月)は、1サークル22分で、発表15分・質疑と講評6分・発表準備1分でした。時間は、発表する大会や社内の発表会の要項で先に確かめます。
作例です。15分の発表を11枚に配ると、次のようになります。時間は筆者が置いた配分の例で、日科技連が示した配分ではありません。
| 枚 | ステップ | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | はじめに | 30秒 |
| 2 | QCサークルの紹介 | 30秒 |
| 3 | 工程の概要 | 1分 |
| 4 | テーマの選定 | 1分 |
| 5 | 現状の把握と目標の設定 | 2分 |
| 6 | 活動計画の作成 | 30秒 |
| 7 | 要因の解析 | 2分30秒 |
| 8 | 対策の検討と実施 | 2分 |
| 9 | 効果の確認 | 2分 |
| 10 | 標準化と管理の定着 | 1分 |
| 11 | 反省と今後の進め方 | 1分 |
| 合計 | 14分(残り1分は間と予備) |
1〜3枚目と11枚目は合わせて3分に収め、残りの11分を4〜10枚目に使います。そのうち現状の把握・要因の解析・対策の検討と実施・効果の確認の4枚が、8分30秒です。私なら、発表の半分以上をこの4枚に配ります。
発表時間が15分でないときは、割合で配ります。作例の割合は、1〜3枚目と11枚目が約2割、4・6・10枚目が約2割、現状の把握・要因の解析・対策の検討と実施・効果の確認の4枚が約6割です。発表時間が10分なら、この4枚は約6分になります。
全国大会の提出期限は、大会ごとに違います。2026年度の案内に載っている提出物は、テーマ登録用紙と、要旨集原稿・発表ワンポイントシートです。案内のページには「発表資料ダウンロード」の欄があり、2026年10月11日の時点では「準備中」と表示されています。提出物の書式と分量は、この欄か大会事務局の案内で確かめます。
- 宜野湾大会(2026年12月10日・11日):テーマ登録は2026年9月18日、要旨集原稿と発表ワンポイントシートは2026年10月19日
- 長崎大会(2027年2月18日・19日):テーマ登録は2026年11月27日、要旨集原稿と発表ワンポイントシートは2026年12月21日
2026年10月11日の時点で、宜野湾大会のテーマ登録の期限は過ぎています。
全国大会は、審査や順位付けを行う大会ではないと案内されています(参加者と講評者の投票で選ぶ QC サークル感動賞はあります)。社内の発表会などで審査票がある場合は、審査票の項目を先に読み、配点の高い項目に当たる枚へ時間を寄せます。項目名は発表会ごとに違うため、どの項目がどの枚に当たるかは先に決めておくのが前提です。作例で「改善効果」の配点が最も高いなら、9枚目を2分から2分30秒へ、3枚目を1分から30秒へ動かします。
資料でつまずく4か所と直し方
作例の設定は、第2組立工程の外観不良件数を、12月末までに月平均20件から8件以下に減らす活動です。目標の3要素に直すと、何を=外観不良件数、いつまでに=12月末、どうする=月平均8件以下です。つまずく枚ごとに、直し方を並べます。
審査する側として、私が見るのは3つです。見出しだけで流れが追えるか、原因と対策がつながっているか、効果を前と同じ物差しで比べているかです。
現状の図は2点までに絞る(5枚目)
層別(データを設備・時間帯・作業者などで分けて見ること)した図を全部載せると、聞き手は問題点を決めた図を探すことになります。連載は、図ごとに「わかったこと」を書き出す方法を示しています。具体的な問題点を重点指向(優先順位の高い問題に絞って取り組むこと)で特定できれば、現状把握は終わりです。
5枚目には、問題点を決めるのに使った図を2点まで載せます。2点は私の目安で、作例の5枚目は2分なので、図1点に1分ほどを使うと2点で埋まるからです。「わかったこと」と、目標の3要素も載せます。残りの図は予備の枚に回します。予備の枚は11枚の後ろに付ける質疑用の資料で、発表では使いません。作例の図は2点で、不良20件のうち傷が14件と分かった図と、月別の推移の図です。
原因と対策を1対1でつなぐ(7・8枚目)
特性要因図で挙げた要因と、対策の欄に並ぶ対策が別々のままだと、対策がどの原因に効くのかが読めません。連載は、重要要因を選んだあとデータで検証して、対策をとるべき原因を決めるとしています。対策は、その原因を取り除くためのものです。
8枚目は、左に検証で確定した原因、右にその原因への対策を1対1で並べます。検証していない要因は、対策の欄に出しません。作例では次の2組になります。
| 確定した原因(7枚目) | 対策(8枚目) |
|---|---|
| 治具の受け面のバリで、ワークに傷が付く | 受け面を面取りする |
| 搬送トレイの中で、ワーク同士が当たる | 仕切り付きのトレイに替える |
効果は同じ条件で前後を比べる(9枚目)
対策前は半年の月平均、対策後は直後の1週間というように、期間や数え方がそろっていない比較になっていることがあります。連載は、目標値と比べながら効果を確認するとしています。
9枚目は、5枚目と同じ指標・同じ数え方・同じ長さの期間で対策の前後を並べ、目標の線も入れます。生産量が変わった期間は、件数でなく不良率で並べるかを先に決めておきます。作例の図は、対策前の月平均20件と、対策後3か月の月平均7件に、目標の8件以下の線を添えたものです。
標準化は確認の仕組みまで書く(10枚目)
連載は、効果のあった対策を日常業務のルールに組み込んで、逆戻りを防ぐことを標準化としています。守られているか、効果が維持されているかを確認する方法を決め、定期的にチェックする仕組みを作る所までが、管理の定着です。
「今後も注意する」で終わる資料は、この仕組みの枚が空のままです。10枚目には、改訂した標準の名前、周知と教育の日、毎月の件数を誰がいつ確認するかを表で載せます。
資料を組む順番
- 発表する大会や社内の発表会の要項で、発表時間、提出物と期限、審査票の有無を確かめる。
- A3 用紙1枚(ポータルの A3 整理シートでもよい)に、11枚の見出しを結論の文で書く。分かっていない枚は空欄のまま残す。
- 活動の記録から、4〜10枚目に載せる図と数字を1枚ずつ選ぶ。載せない図は予備の枚へ回す。
- 5枚目と9枚目の指標と数え方、7枚目と8枚目の原因と対策がそろっているかを突き合わせる。
- そろったらスライドに起こし、声に出して発表時間に収まるかを測る。
まず発表時間と提出期限を要項で確かめ、A3 に11枚の見出しを書きます。見出しが書けない枚が、資料でまだ足りない所です。
出典:日科技連 連載「改善の手順 ~QCストーリーとその選択~」第2回(須加尾政一 著)/同 第3回/同 第4回/日科技連 2026年度 QCサークル全国大会 発表申込みのご案内/日科技連 QCサークル全国大会 案内パンフレット/QCサークル北海道支部 第6664回QCサークル大会(室蘭)の案内
ものづくりポータルのQCサークル発表の A3 整理シートは、この11枚を A3 用紙1枚に並べて、枚ごとの見出し、載せる図と数字、時間の配分を書き込める無料の Excel です。スライドを作る前に、発表の流れ全体を1枚で見渡せます。
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資料づくりを何時間で止めるかと、社内の審査配点の見直し方。この記事で11枚の中身が決まったあと、準備の時間を決めるときに使う。

是正処置報告で、発生原因と流出原因、暫定処置と恒久対策を分けて書く手順と、差し戻されやすい3つの所。要因の解析と対策の枚(7・8枚目)で、原因と対策の書き分けを確かめるときに使う。

免責:このページは、製造現場でよくある場面をもとにした事例と、書式・手順の作例です。数値は説明のための例です。発表の時間・提出物・審査の項目は、発表する大会や社内の要項で確かめてください。