- 期間
- 2026年1月13日〜8月18日(月1の品質会議8回。1月・2月は従来どおり会議のあとに議事録、3月・4月はアジェンダだけを先に、5月以降は議事録の下書きを会議の3営業日前に送った)
- 対象
- 切削加工を委託している外注先1社との月1の品質会議(60分枠・項目4つ・出席4人・先方の会議室)
- 体制
- 品質保証の管理職である私と、購買の担当者1人。先方は品質担当者と製造課長
- 結論
- 議事録の下書きを先に送る形で、会議は60分枠を毎回はみ出す状態から平均49分に縮み、議事録は会議の当日に確定するようになった。効くのは毎月同じ相手と同じ項目で回す定例に限る
1月の会議で決めたはずの、寸法の記録を毎ロット添える件が、2月の会議では「そんな話は聞いていません」になっていた。先方の製造課長は本気で覚えていない顔をしていて、私の手元の議事録には確かに書いてある。ただ、その議事録が先方に届いたのは会議の7営業日あとで、届いた時点で先方の品質担当者が2か所を直してほしいと言い、確定したのは次の会議の1週間前だった。
決めたことが1か月かけて薄まっていく。4人で決めたはずのことを、決めた相手の側が覚えていないなら、決めたと言えるのかどうか、私にも自信がなくなった。
議事録は、あった。読まれていなかっただけだ。
2月に消えた1月の決めごと
この外注先との月1の品質会議は、私が品質保証の管理職になってから引き継いだ定例の1つだ。相手は切削加工を委託している1社で、付き合いは9年になる。毎月第2火曜の14時から、先方の会議室で60分枠。項目は前回決めたことの確認、納入品質の数字、進めている改善の相談、次回までにやることの4つで、出席は私と購買の担当者、先方の品質担当者と製造課長の4人。この形は私が引き継ぐ前から変わっていない。
議事録は私が書いていた。会議のあとに手元のメモを起こして、先方の品質担当者に送り、直しが入れば直して、双方が了解したら確定。書くのに90分ほどかかるのが常で、忙しい月は着手が翌週にずれた。1月の会議の議事録が確定したのは2月3日で、2月の会議の1週間前。2月の会議の議事録は私が送るまでに5営業日、確定したのは2月27日で、直しの往復が3回あった。
2月の会議のあと、帰りの車で購買の担当者がぽつりと言った。「先月も、最初の20分は前回のおさらいでしたよね」。時計を見ていなかったので、次から測ることにした。それで3月からのやり方を変える前に、まず1月と2月がどうだったかを数字にしておく必要が出てきた。
同じ相手、同じ60分、形だけ3つ
比べたのは議事録の出し方だけで、3つの形を2か月ずつ試した。1つ目は従来どおり、会議のあとに私が書いて送る形。2つ目は、項目4つの見出しと前回の宿題の一覧だけをアジェンダとして会議の3営業日前に送る形。3つ目は、議事録そのものの下書きを3営業日前に送る形で、前回の決定事項と宿題の状況、先方から出してもらう納入品質の数字の欄、今回相談したいことを書き込み、決定事項の欄だけ空けておく。会議はその空欄を埋める時間になり、終わり際に4人で読み合わせて、その場で確定する。
相手も枠も項目も出席者も変えていない。1月と2月は測っていなかった会議時間を、購買の担当者が3月から腕時計で記録し、1月と2月は先方の会議室の入退室の記録から拾い直した。数えたのは4つ。会議の実時間、前回の内容を思い出すのに使った時間、議事録が確定するまでの営業日と直しの往復回数、前回の宿題が次の会議までに片づいた件数。宿題の件数だけは1回ずれる。3月の会議で確かめる宿題は2月の会議で出したものなので、アジェンダを先に送った効果が宿題に出るのは4月からになる。

先方の品質担当者には3月の初めに電話で説明した。「3営業日前に紙が1枚届きます。読んでおいてもらえれば」とだけ伝えて、比べていることは言わなかった。言えば構えられると思ったからで、この判断が5月に少し裏目に出る。
会議のあとに書いた1月と2月
従来の形の2回は、会議が74分と81分だった。60分枠を毎回はみ出していたことは、測るまで誰も口にしなかった。はみ出した理由の大半は前回のおさらいで、1月が18分、2月が22分。私の手元の議事録を私が読み上げ、先方が「それは聞いた」「それは違う」と言い、その場で記憶をすり合わせる時間だ。2月10日は、私が読み上げる声を、先方の製造課長が腕を組んで聞いていた。
議事録の確定は1月が2月3日、2月が2月27日。私が送るまでに7営業日と5営業日、そこから直しの往復が2回と3回で、会議から3週間ほどかかった。往復のたびに、決めたことの言い回しが少し丸くなった。「毎ロット添える」が「可能な限り添える」になった月もある。前回の宿題は1月が4件中2件、2月が5件中2件しか片づいておらず、片づかなかった宿題の半分は「そもそも自分の宿題だと思っていなかった」という理由だった。
良かった点もある。準備は資料の印刷だけの20分で済み、会議で出た予定外の話をそのまま拾える。3月に変える前の私は、この身軽さを手放すことに、正直少し迷っていた。

アジェンダだけ先に送った3月と4月
見出しと宿題の一覧だけを送った2回は、会議が66分と63分。おさらいの時間は12分と10分で、半分になった。先方の品質担当者が納入品質の数字を印刷して持ってくるようになったのが大きく、数字を口頭で読み上げて私が書き取る時間が消えた。
ただ、決めたことの食い違いは残った。4月の会議で、3月に決めた「不適合品の写真を翌日までに送る」の「翌日」が、先方では「翌営業日の夕方まで」と受け取られていた。アジェンダには項目名と宿題の題だけが載っていて、何をどう決めたかは載っていない。おさらいの時間が減ったのは、思い出す量が減ったからではなく、順番が決まっていたからだった。
議事録の確定は会議から7営業日と5営業日、直しの往復は2回と1回。宿題は3月が4件中2件、4月が5件中3件。4月の3件は、アジェンダの一覧に自分の名前が載って初めて「自分の宿題だ」と分かった、と先方の製造課長が言った。名前が載るだけで動くなら、決めた内容も載せればいい。5月の形はそこから出てきた。
4月14日の帰り道、購買の担当者に「次は議事録を先に書く」と言ったら、「会議の前に議事録って、順番おかしくないですか」と笑われた。おかしいのは分かっていた。その順番を入れ替えた5月の会議が、8回の中で初めて60分に収まる。

下書きを先に送った5月と6月
下書きはA4で1枚、両面。表に前回の決定事項と、宿題を担当の名前と期限つきで並べ、裏に納入品質の数字を書く欄が3行、今回相談したいことが2件、いちばん下に決定事項の欄を空けてある。5月7日の木曜に先方へメールで送り、同じものを購買の担当者にも渡した。
議事録の下書きを送った5月12日の会議は52分、6月9日は48分だった。60分枠に入ったのは8回のうちこの2回が初めてで、おさらいは5分と4分。前回の決定事項が下書きの表に書いてあるので、読み合わせるだけで済む。先方の品質担当者は裏の数字の欄を事前に埋めて送り返してくれるようになり、会議は空欄の決定事項を埋める作業に変わった。
5月12日の終わり際、先方の製造課長が下書きの決定事項の欄を声に出して読み、「これで確定でいいですか」と私に聞いた。壁の時計は14時52分だった。
「はい」と答えて、その紙が議事録になった。
終わり際の読み合わせで確定するので、議事録は会議の当日に確定した。直しの往復は0回。私の作業は、会議の前の下書きに75分、会議のあとに読み合わせの結果を清書する15分で、合計は従来の110分から90分に減った。ただし前倒しになる。3営業日前の締切が毎月やってきて、5月は連休の最後の日の夜に書いた。
宿題は5月が4件中3件、6月が4件中4件。6月に4件そろったのは初めてで、先方の製造課長は「やることが紙に書いてあると、社内で頼みやすい」と言った。私が会議で言っていたことと同じなのだが、紙に書いてあると通るらしい。
困った点もはっきりしていた。先方の品質担当者が数字の欄を埋めるのに毎月30分かかると聞いた。従来は会議で口頭で言えば済んでいた手間で、こちらの会議時間を縮めた30分の一部を、先方に渡しただけとも言える。先方の集計表は品番ごとの縦並びで、下書きの欄は月ごとの横並び。転記が要る形にしたのは私で、この点は今も先方に借りがあると思っている。
「30分なら、まあ」と先方の品質担当者は言ったが、まあ、の前に少し間があった。

「もう決まってるんですか」の電話
5月7日に最初の下書きを送った翌日、先方の製造課長から私に直接電話が来た。「決定事項(案)って書いてありますけど、もう決まってるんですか」。声は硬かった。下書きの決定事項の欄に、私は「案」と付けて自分の腹案を書き込んでいた。会議で埋めるつもりの欄だったが、読む側には、決まったことを追認させる紙に見えた。
その場で謝って、5月の会議には腹案を消した下書きを持ち込んだ。6月からは欄の名前を「決定事項」と「相談したいこと」に分け、決定事項の欄は必ず空けて送ることにした。相談したいことの欄に私の考えを書くのは変えていない。書く場所が1行ずれただけで、電話は来なくなった。
もう1つ、予想と違ったことがある。会議が短くなると、予定外の話が出なくなった。従来の形では、おさらいの途中で先方の製造課長が「そういえば」と切り出す話があって、そこから改善のテーマになったこともある。下書きの形では、会議の最後の5分を「その他」として空けておかないと、その話が出る場所がなかった。6月からは空けている。
8月までの数字と、使い分け
7月14日の会議は50分、8月は先方の夏季休暇で第3火曜の18日にずらして47分。18日は先方の会議室の冷房が弱く、早く終わったことに4人とも助かった顔をした。議事録はどちらも当日に確定し、宿題は7月が3件中3件、8月が4件中4件だった。下書きの形にしてからの4回で、会議は平均49分、議事録の確定は4回とも当日、宿題は15件中14件が次の会議までに片づいている。
比べた3つの形の使い分けは、私の中では決まった。毎月同じ相手と同じ4項目で回す定例には、議事録の下書きを先に送る。アジェンダだけを送る形は、おさらいが半分になっても決めたことの食い違いが残るので、中間の形として残す理由が見つからなかった。従来の形は、初めて会う外注先との1回目と、不良が出た直後の臨時の会議に残している。何が出てくるか分からない場では、空欄を先に切ってしまうと、切った枠の外の話が出なくなるからだ。
もう一度1月に戻れるなら、下書きの形から始めるかと自分に聞くと、そうは言えない。従来の形で2回測ったから、おさらいの20分が見えた。見えなければ、3営業日前に紙を1枚送る手間を、私は始められなかったと思う。

先方の品質担当者への30分の借りは、まだ返せていない。数字の欄を先方の集計表からそのまま貼れる形に直すのが次の宿題で、8月18日の帰りに、次の下書きの「相談したいこと」の欄へ1行書いた。

1月の会議で消えた寸法の記録の件は、5月の会議で決め直して、6月から毎ロット添えられている。
会議のあとに書くか、先に書くかで同じ会議がどれだけ変わるかを、今回は数えた。決定事項と宿題を書き分ける議事録の型そのものはものづくりハンドブックのA7 協力会社・外注先との定例品質会議の運営が扱っていて、下書きの表と裏の欄も、定例の4項目も、その型に沿わせた。
参考書籍(PR)
会議の前に「この会議で決めること」を紙にして配る、という段取りの意味を私に教えたのは、森時彦『ザ・ファシリテーター』だった。会議の仕切り方を小説の形で書いた本で、下書きの決定事項の欄を空けて送る形は、この本を読んだあとに私が考えた段取りだ。本にそのまま書いてあるわけではない。
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サプライヤー監査で、聞かなくてよかった質問に気づくまで — 協力会社の監査で「誰が検査したんですか」と聞いて場の空気を止め、質問の主語を人から仕組みに書き直したら、60件の記録確認が2時間から1時間20分に縮んだ記録。相手を構えさせない紙の書き方でつまずいた5月の電話と、同じ側の失敗にあたる。
6年前に自分が測った標準時間を、ストップウォッチで2週間測り直した記録 — 7要素のうち3要素が実態より短く、1台あたり29秒ずれていた標準時間を測り直し、能率の月報が84%から94%に動いた記録。動いたのは現場ではなく物差しの方だという言い方は、今回の会議時間にもそのまま当てはまる。
免責: 本記事は筆者個人の経験に基づく記録です。定例会議の進め方や議事録の扱いは、取引先との取り決めや各社の品質マネジメントシステムによって異なります。分数や件数は自社の1社との会議で数えた値であり、実際の運用は各社の状況に合わせてご判断ください。