今月の改正(2026年9月):化審法LC-PFCA省令とSDS4項目

毎月1回、その月に動いた製品含有化学物質と化学物質管理の改正をまとめるページです。一次資料で確かめた内容だけを載せ、続きは翌月の号で追います(確認日:2026年9月29日)。

場面
月初めの品質会議で、先月に動いた化学物質の規制を報告する。自社の製品・設備・測定の委託先に関わるものを拾い、担当と期限を決める
対象
2026年9月に公布・諮問・意見募集などがあった改正。化審法2件、外為法の輸出承認1件、労働安全衛生法(安衛法)2件(うち1件は8月31日の告示)、POPs条約の検討委員会、中国の新化学物質の登記
使うもの
e-Govパブリック・コメントの公示と結果、官報、厚生労働省の通達と労働政策審議会の資料、経済産業省の報道発表、POPs条約事務局と中国生態環境部のページ
要点
11月22日の化審法の施行までに、LC-PFCA関連物質と泡消火薬剤を仕入先と設備の担当に確かめる。10月1日からの個人ばく露測定は、登録を受けた作業環境測定士に頼む

9月の大きな動きは2つある。化審法では、長鎖ペルフルオロアルカン酸(LC-PFCA)関連物質を物質名で定める省令が9月18日に公布された。施行は11月22日だ。安衛法では、SDSで通知する事項に4項目を足す省令案が、9月28日の労働政策審議会安全衛生分科会に諮問された。

10月に品証が手を付けることは3つある。LC-PFCA関連物質を含む原料や部材がないかを、11月22日より前に仕入先へ照会する。泡消火薬剤と消火器の中身も、同じ日までに設備の担当と確かめる。個人ばく露測定を外に頼んでいるなら、委託先の作業環境測定士が個人ばく露測定の登録を受けているかを確かめる。

目次

9月の動きの一覧

改正 9月の動き 次の日付 関係する会社
化審法:LC-PFCA関連物質を定める省令 9月18日公布 11月22日施行 省令の物質を製造・輸入・使用する会社と、それを含む原料や部材を買う会社
化審法:LC-PFCA入りの消火器・泡消火薬剤の取扱い基準(省令案)と表示事項(告示案) 9月1日から意見募集 10月1日0時0分に受付終了。公布と告示は11月上旬の予定、11月22日施行 泡消火設備や消火器を置いている事業所
外為法:輸出承認の告示と通達に、LC-PFCAとその塩・関連物質・クロルピリホス・MCCPを加える改正(令和8年経済産業省告示第121号ほか) 9月18日公布 11月22日施行 4つの物質や、それを含む混合物・製品を輸出する会社
安衛則第34条の2の4:SDSの通知事項に4項目追加(省令案) 9月23日に意見募集を終え、9月28日に労働政策審議会へ諮問 10月公布の予定、2030年4月1日施行 SDSを出す会社と受け取る会社
濃度基準値に48物質追加(令和8年厚生労働省告示第332号) 8月31日告示 2027年10月1日適用 該当物質を屋内作業場で扱う事業場
POPs条約:第22回残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC.22) 9月21〜25日に開催 9月29日時点で結論の掲載なし DBDPE・TBPHや、LC-PFCA・PFOA・PFHxSの関連物質を使う会社
中国:新化学物質環境管理登記弁法の改正 公布なし 未定 中国へ化学品や混合物を出す会社

化審法LC-PFCA関連物質の省令

化審法施行令第1条第1項第42号でいう「長鎖ペルフルオロアルカン酸関連物質」の中身を、厚生労働省・経済産業省・環境省の省令が物質名で定めた。公布は9月18日、施行は11月22日。第一種特定化学物質への指定そのものは、5月22日公布の令和8年政令第171号で済んでいる。指定の対象は、LC-PFCAとその塩、LC-PFCA関連物質、クロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン(MCCP)の4つ。

省令案の項目は156ある。前半は2-(ペルフルオロアルキル)エタン-1-オールのような単体の物質で、後半はアクリレート・メタクリレートの共重合物や反応生成物だ。後半には、炭素数6から12の混合物なら炭素数8から12のものを含むときに限る、という書き方が多い。炭素数6の製品に切り替えた材料でも、炭素数8以上が混ざっていれば対象に入る項目がある。

意見募集の結果で、3省は「化審法における第一種特定化学物質は含有率による適用除外がありません」と答えた。分析などで含有が確かめられれば、微量でも規制がかかる。不純物の扱いは別で、環境汚染のおそれがなく、工業技術的・経済的に可能なレベルまで下げていると認められれば、第一種特定化学物質として扱わない。

第一種特定化学物質になると、製造と輸入は許可制(原則禁止)になり、使用も制限される。政令で指定された製品は、この物質が使われていれば輸入できない。輸入禁止製品に当たるHSコードは、経済産業省の「化審法に係る化学物質の輸入通関手続等について」に今後載る。

輸出の側も、同じ9月18日に改正が公布された。外為法の輸出承認にかかわる経済産業省告示第121号(官報 9月18日 号外第209号)が、LC-PFCAとその塩、LC-PFCA関連物質、クロルピリホス、MCCPの4つを告示の表に加えた。施行は11月22日で、化審法の指定と同じ日だ。意見募集の結果によると、通達「化学物質の輸出承認について」と「輸出貿易管理令の運用について」の改正も同じ日に公布されている。経済産業省の輸出承認の対象品目のページは、第一種特定化学物質を含む混合物・製剤と製品も対象として書いている。10月1日に見たときは、このページに4つの物質はまだ載っていなかった(6月17日更新)。

  1. フッ素系の撥水剤・表面処理剤・樹脂を使う原料と部材を洗い出し、10月中に仕入先へ照会を出す。回答の期限は11月22日より前に置く。
  2. 照会は「省令の項目に当たる物質を含むか、含まないか」で聞く。ppmの閾値は書かない。
  3. 該当があれば、在庫と仕掛品の数量を押さえ、政令の附則の経過措置に当たるかを確かめる。
  4. 輸入品を扱うなら、HSコードの一覧が経済産業省のページに載った時点で品目と突き合わせる。
  5. 4つの物質や、それを含む製品を輸出しているなら、11月22日以降の出荷に輸出承認が要るかを輸出管理の担当と確かめる。

消火器と泡消火薬剤の取扱い基準

政令第171号により、LC-PFCAとその塩、関連物質が使われた消火器・消火器用消火薬剤・泡消火薬剤は、化審法第28条第2項の技術上の基準に従って扱う製品になる。9月1日に、その基準を定める省令の改正案が公示された。容器・包装・送り状に書く表示事項の告示改正案も同じ日に出た。表示の中身は、PFOSなどが使われた製品と同じで変わらない。

意見の受付は10月1日0時0分に締め切られた。省令の公布と告示は11月上旬の予定で、施行と適用は11月22日だ。

  • 泡消火薬剤と消火器の製品名、メーカー、設置場所、本数を、設備の台帳を持つ部署と一覧にする。
  • 薬剤メーカーに、LC-PFCAとその塩・関連物質の使用の有無を照会する。回答の期限は11月22日より前に置く。

SDSの通知事項に4項目追加

安衛則第34条の2の4を改め、SDSで通知しなければならない事項に次の4つを足す。意見募集は8月24日から9月23日まで行われた。9月28日の第189回労働政策審議会安全衛生分科会に省令案要綱が諮問され、公布は10月の予定、施行は2030年4月1日だ。

  1. 成分を特定できる固有の番号。CAS登録番号などで、番号がないときと代替化学名で通知するときは除く。
  2. 成分に応じた適切な呼吸用保護具の種類。防毒マスクなどは吸収缶の種類まで書く。使うときの成分組成が明らかな場合に限る。
  3. 不浸透性の保護手袋の材料として不適切なもの。不浸透性の保護手袋の使用義務がある成分に限り、記載したウェブサイトのアドレスの通知で代えられる。
  4. 成分の化学物質の区分。危険物、特定化学物質、有機溶剤、リスクアセスメント対象物、がん原性物質などは、定められた略称で代えられる。

令和7年の法改正には、SDSの通知義務の違反に罰則を設ける内容が入っている。今回の4項目は、その罰則付きの義務になる通知事項に加わる。SDSを出す会社は様式と作成の仕組みを直し、受け取る会社は受入時の点検項目を足すことになる。

私なら、受け取るSDSの点検表に4つの欄を先に作る。施行前に届いたSDSでも欄が埋まるかを見れば、仕入先ごとの準備の進み具合がつかめる。公布されたら、条文と施行通達で「番号」の範囲と区分の略称を確かめ、点検表を直す。

濃度基準値48物質(8月31日告示)

令和8年厚生労働省告示第332号で、アジ化水素など48物質に濃度基準値が定められた。告示は8月31日、適用は2027年10月1日だ。測定方法も技術上の指針(公示第29号)に加わった。

たとえば、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムは8時間濃度基準値が1 mg/m³、短時間濃度基準値が2 mg/m³(天井値)。メチルシクロヘキサンは100 ppm、ベンジルアルコールは2 ppm、d-リモネンは3 ppmだ。使っている化学品のSDSの成分と48物質を突き合わせる。該当があれば、リスクアセスメントを2027年10月1日までにやり直す。

10月1日からの個人ばく露測定

令和7年の安衛法・作業環境測定法の改正が10月1日に施行され、個人ばく露測定は作業環境測定の一部になった(安衛法第2条第4号・第65条の3)。同日から、リスクアセスメント対象物について屋内作業場で行う個人ばく露測定は、作業環境測定士に行わせる。自社でできなければ、登録を受けた作業環境測定機関に委託する。デザインとサンプリングは、個人ばく露測定の登録を受けた作業環境測定士が行う。分析をする人の要件は、分析方法ごとに告示で定める予定だ。

対象には、リスクアセスメントのための個人ばく露測定と、濃度基準値を超えるおそれのある屋内作業場での個人ばく露測定などが入る。簡易的な測定や予備的な測定は含まない。同じ10月1日には、令和7年厚生労働省告示第269号の78物質の濃度基準値も適用された。N-メチル-2-ピロリドンは1 ppm、ビスフェノールAは2 mg/m³、酢酸1-メトキシ-2-プロピルは50 ppmだ。

委託しているなら、委託先の作業環境測定士の登録証を見る。「個人ばく露測定に係るデザイン及びサンプリングを行うことができること」の記載がなければ、書き換えの予定を委託先に聞く。社内の人が測っているなら、10月1日からの扱いを安全衛生の担当と確かめる。

POPRC.22は結論待ち

POPs条約の第22回残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC.22)が、9月21日から25日までローマで開かれた。新しく収載を提案された物質は2つある。ノルウェーが提案したデカブロモジフェニルエタン(DBDPE)と、EUが提案したビス(2-エチルヘキシル)テトラブロモフタレート(TBPH)だ。LC-PFCA、PFOA、PFHxSの例示リストの見直しも議題に入っている。9月29日時点で、会合のページに結論は載っていない。

結論が出たら、DBDPEとTBPHが次の審査段階に進んだかを見る。使っている部材があるかは、いまのうちに仕入先の回答書の成分欄で探せる。

中国の登記弁法は未公布

中国の「新化学物質環境管理登記弁法」の改正は、9月29日時点で公布されていない。生態環境部の新化学物質のページに9月に載ったのは登記証の審査結果などで、改正弁法の告示はない。備案の停止(8月15日)からの扱いと改正案の中身は、中国の新化学物質「備案」廃止と登記弁法の改正案で追っている。

10月以降の予定

日付 内容
10月1日0時0分 消火器・泡消火薬剤の取扱い基準(省令案)と表示事項(告示案)の意見受付の締切
10月1日 個人ばく露測定を作業環境測定士に行わせる改正の施行。濃度基準値78物質の適用
10月(予定) SDSの通知事項に4項目を足す安衛則改正の公布
11月上旬(予定) 消火器・泡消火薬剤の取扱い基準の省令公布と、表示事項の告示
11月22日 令和8年政令第171号とLC-PFCA関連物質の省令の施行。消火器・泡消火薬剤の基準と表示、外為法の輸出承認の告示(経済産業省告示第121号)も同じ日から
2027年10月1日 濃度基準値48物質の適用
2030年4月1日 SDSの通知事項4項目の施行
未定 POPRC.22の結論、中国の登記弁法の公布、化審法の輸入禁止製品のHSコード一覧

10月の最初の週に、LC-PFCA関連物質の照会と、消火設備の一覧づくりを始める。照会の回答期限を11月上旬に置けば、11月22日の施行までに該当品の扱いを決める時間が残る。10月号では、SDSの省令の公布と条文、POPRC.22の結論、HSコード一覧の掲載を追う。

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出典

免責:このページは、厚生労働省・経済産業省・環境省、POPs条約事務局、中国生態環境部が公開している資料をもとに、2026年9月29日時点でまとめたものです。法令の解釈を保証するものではありません。自社が対象になるかは、条文と所管省庁の案内、取引先の要求書で確かめてください。

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この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

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