制度の常設ページです。chemSHERPA の調査回答は、私の担当業務のひとつです。ツールや物質リストの改版があれば書き直します(確認日:2026年9月28日)。
- 場面
- 客先から「chemSHERPA で回答してほしい」と依頼が来た。品番ごとに含有化学物質のデータを返す
- 対象
- chemSHERPA(CMP コンソーシアムが運用する、製品に含まれる化学物質の情報を取引先へ伝える共通の仕組み)。成形品は chemSHERPA-AI、化学品は chemSHERPA-CI
- 使うもの
- データ作成支援ツール V2R1.03.0(2026年4月24日公開・外部リスト ver2.13.00 組込み。外部リストは、物質リストなどを収めた、ツールが読むデータ)、管理対象物質参照リスト Ver.2.13.00、仕入先から集めた AI・CI のファイル
- 要点
- 最新のツールで作り、拡張子 .shai/.shci のファイルのまま返す。発行者と承認者を入れ、返したファイルと使った版を品番ごとに残す
客先から chemSHERPA で回答を求められたら、CMP コンソーシアムのサイトから最新のデータ作成支援ツールを落とし、成形品なら chemSHERPA-AI、化学品なら chemSHERPA-CI のデータを作って、拡張子 .shai/.shci のファイルのまま返します。2026年9月28日時点の最新は V2R1.03.0 です。Excel や PDF に書き写して返すと、chemSHERPA の利用ルール(定められたデータフォーマットを変えずに使う)に合いません。材料や部品の中身は、自社で調べる前に仕入先から AI・CI を集めます。
2026年は、回答する側に関わる変更が4つあります。旧サイト chemsherpa.net は CMP コンソーシアムのサイトへ移り、古い URL はトップページへ転送されます。物質リストの定期改訂は年2回のまま、基準日が SVHC(EU の REACH 規則の高懸念物質)の更新から自動車業界の物質リスト GADSL の改訂へ変わり、外部リストの版の付け方も変わりました。秋の定期改訂からは、CAS 番号のある一般の化学物質もリストに載ります。次版のツール V3R1.00.0(外部リスト 3.01)も予告されています。
9月28日時点の版と変更点
| 項目 | 9月28日時点 |
|---|---|
| データ作成支援ツール | V2R1.03.0(2026年4月24日公開)。成形品用(AI)と化学品用(CI)の2本で、どちらも外部リスト ver2.13.00 を組み込み、マニュアル一式を同梱 |
| 管理対象物質の参照リストと説明書 | Ver.2.13.00(2026年3月25日公開) |
| 物質リストの改訂 | 年2回。2026年度から基準日を GADSL の改訂に変更。最新の SVHC が入るのはこれまでより2か月ほど遅くなる代わりに、次の SVHC 候補(意見募集中の物質)を「管理対象物質の候補物質」として先に載せる(2026年6月5日のお知らせ) |
| 外部リストの番号 | A.BB.CC の形へ。A=情報伝達のスキーマの改訂、BB=定期改訂、CC=候補物質の改訂。CMP との統合で A は3から始まる予定 |
| リストに載る物質 | 2026年秋の定期改訂から、管理対象に当たらない物質のうち CAS 番号のあるものも収載(2026年6月23日のお知らせ) |
| 次版 | V3R1.00.0(外部リスト 3.01)。EU RoHS の適用除外 6(c)・7(a)・7(c)-I・7(c)-II は期限だけが延びた項目で、旧版のデータを読み込むと新しい用途コードへ自動で置き換わる(2026年9月8日のお知らせ)。公開日はまだ出ていない |
| ツールの置き場 | CMP コンソーシアムのサイトの「chemSHERPA → データ作成支援ツール(日)」。chemsherpa.net/tool はトップページへ転送される(9月28日に確認) |
AI と CI の使い分け
化学品(物質や混合物)を納めているなら chemSHERPA-CI、部品や製品のような成形品を納めているなら chemSHERPA-AI です。chemSHERPA の入門ガイドの図でも、CI を出すのは化学品・素材の業界です。部品・加工と組立・最終製品の業界は AI を出します。
- CI は成分情報を伝えます。
- AI は成分情報に加えて、製品の分野ごとに求められる遵法判断情報を伝えます。
樹脂を買って成形し、部品として納めている会社なら、仕入先からは CI を受け取り、客先へは AI を返します。依頼に AI・CI の指定が無ければ、返す前に依頼元へ確かめます。
依頼が来てから返すまで
- 依頼の中身を確かめる。品番、AI・CI の別、期限、客先が使っているツールの版とデータの形式を聞きます。V2R1 のツールの標準の出力は V2ex 形式です。客先から形式の指定があれば、それに合わせます(V2 形式で出すときの注意は CMP の「Technical Guide」)。「管理対象候補物質の報告」を「する」「しない」のどちらにするかも、依頼者情報の欄で確かめておきます。
- ツールを用意する。Windows の PC に落とし、zip を必ず展開してから、成形品は Article.exe、化学品は Chemical.exe を起動します。OneDrive やネットワーク上に置いて動かすことは保証されていないので、置き場は PC の中のフォルダです。最初に発行者情報と承認者情報(英語の欄は必須)を入れて「ひな形として登録」しておくと、次から一度で入ります。
- 仕入先から AI・CI を集める。情報は材料から部品、製品へとモノと一緒に流れます。自社で分析を頼む前に、材料や部品の仕入先へ同じ chemSHERPA の形式で依頼します。仕入先から返ってこないときの進め方は、客先との取り決めと社内の手順によるので、このページでは扱いません。
- データを作る。自社の品番の構成(部品と材質)を入れ、仕入先から受け取ったデータを読み込んで組み上げます。操作の手順は CMP の「クイックマニュアル(第5.1版)」、作り方の見本は「データ作成事例サンプル」(V2R1.03.0 対応・2026年6月24日公開)にあります。
- 確かめて出す。エラーチェックをかけ、発行者と承認者を入れて出力します。発行者の欄の担当者と承認者が同じ人でもかまいませんが、承認者はその職責を持つ人です(CMP の FAQ)。
- 控えを残す。返したファイル、仕入先から受け取ったファイル、使ったツールと外部リストの版を品番ごとに残します。物質リストは年2回改訂されます。
依頼の台帳と仕入先からの回収の台帳に、回答の文例を付けた様式を、ものづくりポータルの含有化学物質の回答管理表(Excel)に置いています。控えの欄には、使った物質リストとツールの版を書けます。
返す前に見る5つの所
- ファイルの形式。.shai(AI)か .shci(CI)のまま出していること。Excel の参照用出力や PDF は、確認用には使えても回答の代わりにはなりません。
- ツールの版。客先が版や形式を指定していれば、それに合わせます。指定が無ければ、CMP のサイトで最新の版を確かめてから作ります。
- V2 形式で出すとき。V2R1 のツールで「管理対象候補物質の報告」を「する」にして V2 形式で出したファイルを読み直すと、「しない」に変わってしまうことが CMP の FAQ に書かれています。V2 形式で返すなら、出力の直前に、この設定が依頼どおりになっているかを見直します。
- 発行者と承認者。英語の必須欄が埋まっていること。承認者に職責のある人が入っていること。
- リンク。社内の手順書や依頼文に chemsherpa.net のリンクが残っていると、CMP のトップに飛ばされます。手順書のリンクを「データ作成支援ツール(日)」の頁へ直しておきます。
宣誓書や不使用証明を求められたら
chemSHERPA のデータが不使用証明書の代わりになるかどうかは、各社が判断することだと CMP の FAQ は答えています。そのうえで、仕入先の含有化学物質の管理を評価した結果と組み合わせれば、chemSHERPA 以外の書類を求めずに済む場合もあるとしています。
客先の様式の宣誓書が届いたら、まず宣誓の中身を様式の中で確かめます。見るのは対象の物質と閾値、根拠にする仕入先の回答です。そのうえで、chemSHERPA のデータで足りる場合の扱いを客先に相談します。足りないとされたら、客先の様式に仕入先の回答を根拠として書き込んで出します。
客先の独自様式は、文言によっては物質も品番も期間も決まらない約束になります。署名の前に、次の6つの所を様式の文と見比べてください。「受けやすい書き方」になっていれば、根拠にした仕入先の回答を添えて出しやすくなります。「書き換えを相談する書き方」に当たる所があれば、署名する前に客先へ書き換えを相談します。
| 見る所 | 受けやすい書き方 | 書き換えを相談する書き方 |
|---|---|---|
| 対象の物質 | 物質リストの名前と版が書いてある(例:「chemSHERPA 管理対象物質 Ver.2.13.00 の物質」) | 「有害物質を一切含まない」のように物質の一覧がない。対象のリストと版を書いてもらう |
| 閾値と「不使用」の意味 | 「含まない」を何 wt% 未満とするかと、均質材料か部品かの単位が書いてある | 閾値がない。「不使用」が意図して加えないことだけを指すのか読めない。閾値と意味を書いてもらう |
| 保証の範囲 | 「別紙の品番について、本書の日付時点で入手した仕入先の回答に基づく」のように品番と根拠がある | 「納入する全製品」「将来にわたり」と品番も期間も限らない。品番の一覧と根拠の日付を足してもらう |
| 物質リストの改版 | 「物質リストの改版のときは、改めて回答する」とある | 改版で増えた物質まで含まないと読める。出し直しの取り決めに替えてもらう |
| 損害賠償 | 上限が書いてある、または「取引基本契約の定めによる」とある | 上限がない、回収費用や逸失利益まで負うと読める。社内で誰が判断するかを先に決める |
| 押印と名前 | chemSHERPA の回答と同じ発行者・承認者の名前で出せる | 代表者名と社印を求められる。社内の決裁の決まりで、誰の名前で出すかを決めてから返す |
書き換えの文と、上限のない賠償を引き受けるかどうかは、法務・上長と決めます。CMP の FAQ 利-3 も、chemSHERPA で不使用証明に代えられるかを各社の判断に任せる理由を、「事業者によってリスクに対する考え方が異なる」ためとしています。
自社の様式で出してよいと言われたら、CMP の「自己適合宣言書(様式例)」を元にできます。製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版の附属書F(2018年5月31日)で、CMP コンソーシアムの「管理ガイドライン」のページから日本語・英語・中国語の Word を取れます(名前などの入力が要ります)。
改版を見張る
物質リストの改訂は年2回、ツールの改版は直近の2回が2025年8月と2026年4月でした。CMP コンソーシアムのお知らせのうち「chemSHERPA」と「管理対象物質」の2つを月に1回見れば、どちらの改版も拾えます。このページも改版があれば書き直し、冒頭の確認日を更新します。
次に読む
中国向けに化学品を出していて、組成の開示を求められたときの手順です。

EU 向けの客先から、SVHC を0.1%を超えて含むかを聞かれたときの手順です。

LC-PFCA・クロルピリホス・MCCP の調査で、日本向けは「含むか」、EU 向けは「何 mg/kg か」と聞かれたときの返し方です。

PFAS を含むかの調査で、仕向地ごとに答えの型(物質名・濃度・総フッ素・意図的添加)が変わるときの返し方です。

出典
- CMP コンソーシアム「データ作成支援(ツール等)」(ツール V2R1.03.0・管理対象物質 Ver.2.13.00・Technical Guide・クイックマニュアル・事例サンプル)
- CMP コンソーシアム「chemSHERPA物質リストの定期改訂タイミング変更と外部リストのバージョン体系変更」(2026年6月5日)
- CMP コンソーシアム「chemSHERPA物質リストの収載物質に関するお知らせ」(2026年6月23日)
- CMP コンソーシアム「EU RoHS適用除外 新用途コードへの自動変換機能の実装について」(2026年9月8日)
- CMP コンソーシアム「chemSHERPAについて」(入門ガイド 2022年5月9日改版・「できる!ケムシェルパ」2025年2月12日・FAQ への入口)
- chemSHERPA FAQ(利-1・利-3・利-6・ツールV2R1 の20)
- CMP コンソーシアム「管理ガイドライン」(製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版 附属書F「自己適合宣言書(様式例)」2018年5月31日)
免責:このページは CMP コンソーシアムの公開資料をもとにまとめたものです。ツールの操作はツールに同梱のマニュアルで、回答の範囲は客先の要求書で確かめてください。