外注先への依頼メールを4項目に削ったら、返信までの日数が半分になった話

月曜の朝、出社して真っ先にメールを開いたら、協力会社から「仕様変更のご連絡です。よろしくお願いします」という一行だけが届いていた。添付は写真が1枚だけ。いつから変わるのか、旧品はどこまで使い切っていいのか、何も書かれていない。折り返し電話をかけたが担当者が席を外していて、結局回答が来たのは2日後だった。

その日の午後、私が送っている依頼メールの送信履歴を読み返してみて、似たようなものだと気づいた。「ご確認お願いします」「至急対応願います」とだけ書いて送っていたメールが、過去3か月で何十通もあった。相手からすれば、何を・いつまでに・どんな形式で返せばいいのか、こちらの頭の中にしかなかったはずだ。

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依頼文を「4項目」に削った

最初にやったのは、依頼メールの書き出しを固定の4項目にすることだった。①何が起きているか(現象)②いつまでに欲しいか(期限)③何を返してほしいか(回答の形式)④誰宛か(担当者名)。この4つを冒頭3行に必ず入れ、背景説明はそのあとに回した。

たとえば以前なら「先日ご相談した件の後、状況はいかがでしょうか。お手数ですがご確認のほどよろしくお願いいたします」とだけ書いていたところを、「◯月◯日納入分の外観不良について、8/20までに原因欄を含めた回答をこの表の書式で△△様宛にお願いします」という書き方に変えた。文字数はむしろ増えたが、相手が読んですぐ動けるかどうかが変わった。

依頼メールの型のBefore→After比較図 ※筆者の運用記録(対象:自分の送信履歴・期間:過去3か月)
依頼メールの型 Before → After ※筆者の運用記録(対象:自分の送信履歴・期間:過去3か月)

やってみると、最初の1週間は逆に評判が悪かった。

取引先の担当者から「前より事務的になった気がする」と言われ、正直ひるんだ。長い挨拶文を削ったぶん、そっけなく見えたのだと思う。そこで冒頭4項目のあとに、以前どおりの一言(「お忙しいところ恐縮ですが」程度)を1行だけ戻した。この匙加減が正解かどうかは今も分からないが、少なくとも苦情は止まった。

同じ型を定例会議にも持ち込んだ

月1回の品質会議でも、同じことが起きていた。議事録を見返すと「改善をお願いします」とだけ書かれた項目が並んでいた。誰が・いつまでに・何をするかが空欄のままになっている回が、半分近くあった。依頼メールと同じ4項目を、会議の宿題欄にもそのまま当てはめた。宿題は「担当」「期限」をセットで書かないと議事録に載せない、というルールに変えた。

3か月分の記録を並べてみると、変更前は宿題の完了確認まで平均で12〜13日かかっていたのが、変更後は6〜7日程度に縮んだ。催促のメールを自分から送る回数も、月に7〜8通あったのが2〜3通まで減った。数字はうちの1ラインの実績にすぎず、そのまま他社に当てはまる保証はない。それでも、宿題が宙に浮く感覚はかなり減った。

宿題の完了確認までの日数と催促メール件数の変化を示す棒グラフ ※筆者の運用記録(対象:月1回の品質会議の宿題・期間:変更の前後3か月ずつ)
宿題が片づくまでの日数と、催促の回数 ※筆者の運用記録(対象:月1回の品質会議の宿題・期間:変更の前後3か月ずつ)

是正報告の差し戻しも同じ原因だった

副産物もあった。顧客に提出する是正処置報告(いわゆるSCAR)が「原因が腑に落ちない」と差し戻されたことがある。そのとき協力会社への調査依頼メールを見返すと、やはり「原因を調べて教えてください」としか書いていない回が多かった。何の工程の・どの条件で・いつのロットかを先に絞り込んで依頼し直すと、返ってくる回答の粒度が変わった。報告書を書き直す回数も、それで減った気がする。依頼文の型がSCARの手前まで効いてくるとは、正直つながるまで気づかなかった。

差し戻された依頼と絞り込み直した依頼の比較図 ※筆者の運用記録(対象:協力会社への調査依頼メール・期間:型を変える前後)
差し戻された依頼と、絞り込み直した依頼 ※筆者の運用記録(対象:協力会社への調査依頼メール・期間:型を変える前後)

フォーマットを固定しすぎた失敗

一方で、フォーマットに寄せすぎて失敗したこともある。4M変更の連絡を受けるための返信テンプレートをExcelで作り、相手にもそれで返してほしいと依頼した。すると、ある協力会社から「毎回このExcelを開くのが手間で、結局電話で済ませたくなる」と言われてしまった。効率化のつもりが、相手の手間を増やしていた。今はメール本文にそのまま4項目を書き込むだけでも可、という簡易運用に緩めている。どこまで型を固定するべきかは、私もまだ探り中だ。

返信テンプレートを配布してから簡易運用に緩めるまでの流れ図 ※筆者の運用記録(対象:4M変更の連絡用テンプレート・期間:導入〜簡易運用まで)
型を固定しすぎて、緩めるまで ※筆者の運用記録(対象:4M変更の連絡用テンプレート・期間:導入〜簡易運用まで)

変わったのは文面より前の順番だった

振り返ると、文章表現そのものより、書く順番を変えたことのほうが効いた気がする。以前は現象や経緯から書き始めて、最後に「いつまでに」を付け足していた。今は先に期限と欲しい回答の形を書き、経緯はそのあとに回す。読む側は先に「自分が何をすればいいか」が分かるので、返信までの迷いが減ったのだと思う。この順番を変えるだけで返信が早くなるとは、正直やってみるまで思っていなかった。

依頼文一つですべてが解決するわけではないし、今回書いた数字も一時期・一ラインの実績にとどまる。それでも、定例の品質会議で宿題が宙に浮きやすいと感じている人には、まず依頼文の冒頭4項目だけでも試してみる価値はあると思う。読み返すたびに、まだ削れる一文があるとも感じている。

協力会社との定例品質会議の運営については、ものづくりポータルの記事にも整理している。あわせて読んでみてほしい。

参考書籍

依頼文の「型」を考えるときに参考にしている一冊です。【PR】伝え方が9割 [ 佐々木 圭一 ]

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免責:本記事は特定の企業・取引先を指すものではなく、一般化・簡略化した内容です。数値は目安であり、業種・取引条件により結果は異なります。

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この記事を書いた人

製造メーカーに10年以上。検査員から始めて生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは管理職。若手のころの失敗も含めて、現場で見たこと、試したことを書いています。座右の銘は「ピンチはチャンス」

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