- 場面
- 客先の担当者が、出荷前の立会い検査に来ることになった
- 対象
- 立会い検査を受ける側の品質保証・検査の担当者
- 使うもの
- 前日までの準備表、客先へ送る1枚、当日の時間割、立会い記録
- 要点
- 客先がいなくてもできることは前日までに終え、当日は読み合わせから署名までの5つにする
客先から出荷前の立会い検査の日程が届き、受け入れの段取りを任されたとする。準備は、前日までに済ませるものと、当日にしかできないものの2つに分けて並べる。
客先の担当者がいなくてもできることは、すべて前日までに終える。当日に残すのは、客先の前で行う読み合わせ、始業点検、測定、判定、署名の5つだけにする。当日の朝に校正証明書を探したり、抜き取り品を選び直したりすると、客先を待たせたまま時間が過ぎ、段取りの抜けが立会い記録にそのまま残る。
前日までに済ませる準備
準備表は、物・道具・人・書類・場所の順に次の11行で作る。印刷するときは、各行に担当の名前と済ませた日の欄を足す。
- 抜き取り品:客先と合意した数を対象ロットから抜き取り、1個ずつ番号の札を付ける
- 予備の品:同じロットから2個多く取り分け、測り直しと破損に備える
- 測定器の校正:当日が校正の期限内か確かめ、校正証明書の写しを綴じる
- 始業点検:ゼロ点と基準器の値を前日に確かめ、点検の記録を残す
- 測る人:ふだんその検査をしている人を1人決め、同じ品を10回測って、範囲の2倍が公差幅の1割未満かを見る
- 記録する人と答える人:値を記録する人と客先の質問に答える人を決め、送る1枚に名前を書く
- 図面と検査規格書の版:客先の手元の版と同じか、版数を客先に確かめる
- 自社の検査記録:対象ロットの出荷検査記録を綴じ、測った値をすぐ開けるようにする
- 立会い記録の用紙:欄を決めて印刷し、署名欄まで入れる
- 測る場所:室温と、品を置いてから測り始めるまでの時間を決める
- 見せる範囲:立ち入る範囲、撮影の可否、同席する人を決めて客先へ伝える
1枚を送る前に1項目だけ通す
立会いの3営業日前までに、測る人と記録する人の2人で、予備の品を使って1項目だけを当日の手順どおりに測る。始業点検から値の読み上げと記入までを流し、1項目にかかった時間を計る。その時間に項目の数と抜き取り数を掛けて、当日の測定の枠(下の時間割なら60分)に収まるかを確かめる。
収まらないときは、項目の数か抜き取り数を、1枚に書く前に客先と相談する。客先がオンラインで立ち会うなら、測定器の表示と品が同じ画面に映るカメラの位置も、この通しで決める。
客先へ先に送る1枚
立会いの2営業日前までに、次の6つをA4の1枚にまとめて客先へ送り、返事をもらう。
- 当日の時間割と自社から出る人の名前
- 対象ロット、抜き取り数、測る項目とその順番
- 図面と検査規格書の版数
- 判定の基準、測定値を丸める桁と丸め方、測り直しの回数
- 使う測定器の種類と管理番号、校正の期限
- 見せる範囲:立ち入る範囲、撮影の可否、同席する人
返事で版数や抜き取り数が食い違っていたら、前日のうちに電話で合わせ、1枚を直して送り直す。当日の読み合わせは、この1枚を客先の担当者と確かめるだけで終わる。
校正の証明は綴じて見せる
外部で校正している測定器は、校正証明書の写しを準備表の綴りに入れる。JCSS(計量法に基づく校正事業者の登録制度)の登録事業者は、標章(JCSSの印)の入った校正証明書を出せる。標章付きの証明書なら、国家計量標準へのトレーサビリティがその印で分かる。社内で校正している測定器なら、社内の校正記録と、校正に使った基準器の証明書を2枚1組で綴じる。
当日の時間割と役割
品は、準備表の測る場所の行で決めた時間だけ前に台へ置き、測定器と綴りも開始までに並べておく。たとえば午前10時から2時間の枠なら、次のように割る。
- 10:00〜10:15 読み合わせ:送った1枚の内容を客先の担当者と確かめ、合意したことを立会い記録に書き込む。
- 10:15〜10:25 始業点検:客先の前でゼロ点と基準器の値を測り、点検の結果を見せる。
- 10:25〜11:25 測定:項目の順に測り、記録する人が値を読み上げる。
- 11:25〜11:40 判定:立会い記録の値を客先の担当者と1行ずつ見て、判定を記入する。
- 11:40〜12:00 署名:持ち帰り事項と回答の期限を書き、双方が署名する。
自社側は3人で回す。測る人、値を記録する人、客先の質問に答える人の3人で、答える人は測定に手を出さず、図面と検査記録の綴りを持って客先の担当者の横に立つ。測る人が質問に答え始めると測定が止まり、時間割が後ろへずれる。
判定が割れたときの扱い
測り直しは、送る1枚に書いたとおり1回までにする。測り直す前に、当てる位置と測る力を客先の担当者と合わせる。
測り直しても判定が割れた品は、その場で合否を決めない。立会い記録に「保留」として残し、品には札を付けて隔離する。保留にした品は、測り方と測定器、品の中で測った位置、丸める前の測定値を自社と客先で並べてから判定する。
その場で答えられない質問も、持ち帰り事項の欄に回す。質問をそのままの言葉で書き、誰がいつまでに答えるかを客先の前で決める。回答の期限は、私なら3営業日にする。
立会い記録に残す欄
立会い記録は、客先と自社が同じ紙に署名する。欄は次の6つで足りる。
- 日時、場所、立ち会った人の名前(客先と自社)
- 品番、図面と検査規格書の版、ロット番号、抜き取り数
- 使った測定器の管理番号と校正の期限
- 品の札の番号、項目の規格値、丸める前の測定値、判定(合・否・保留)
- 持ち帰り事項:内容、答える人、期限
- 双方の署名
測り直した値は、同じ行に並べて書く。客先がオンラインで立ち会うときは、記録を画面に映して1行ずつ読み合わせ、PDFで送って署名を返してもらう。写しはその日のうちに客先へ送り、原本は対象ロットの出荷検査記録と同じ綴りに入れる。保留の品が残ったロットは、持ち帰り事項の回答を客先が受け入れてから出荷の可否を決める。
日程の連絡が届いたら、その日のうちに準備表を印刷し、行ごとに担当と済ませる日を書き込む。1項目の通しは立会いの3営業日前、客先へ送る1枚は2営業日前を期限にして予定表に入れ、立会い記録の用紙は上の6つの欄で作る。
立会いの当日に客先へ見せる範囲は、ものづくりハンドブックのS6 監査・品質会議・顧客訪問での連携でも事前に決める項目に入っている。そこにある「当日その場で判断しない」の線を、準備表の見せる範囲の行にそのまま使う。
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立会いの当日は、客先の質問にその場で答えるか持ち帰るかを、話し出す前に決める場面が何度もある。安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』は、話す前に考えることを「7つの黄金法則」と、客観視・整理・傾聴・質問・言語化の5つの思考法に分けた本だ。客先の質問に答える役を受け持つ人が、日程が決まった週に目を通しておく。
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保留にした品の判定が客先と割れたままなら、下の記事の突き合わせ表に載せる。基準の版、測り方と測定器、測った現品と位置、輸送と保管、丸める前の生の測定値の5行を自社と客先で並べ、差の出どころを絞る。

測定値、判定、使った測定器、検査した人、出荷を許可した人の5つの欄を本体に残す様式の組み方。立会いのあとに出す検査成績書は、このうち測定値、判定、使った測定器の3つの欄で立会い記録と突き合わせられる。

免責: 本記事は、製造現場でよくある場面をもとにした事例と、書式・手順の作例です。数値は説明のための例です。立会い検査の進め方や判定の扱いは客先との取り決めによって異なるため、実際の対応は自社の規程に沿ってご判断ください。