今月の改正(2026年11月):ラベル・SDS案の締切、化審法の施行、英国のPOPs改正案

毎月1回、その月に動いた製品含有化学物質と化学物質管理の改正をまとめるページです。一次資料で確かめた内容だけを載せます。日付を入れた項目は、その日に確かめた内容です(確認日:2026年11月1日)。

場面
月例の品質会議で、11月に締切や施行を迎える化学物質の規制を報告する。自社の原料・輸入品・輸出品に関わるものを拾い、担当と期限を決める
対象
2026年11月に締切・施行・公布の見込みがある改正と、10月下旬に出た動き。ラベル・SDSの対象物質案など意見募集3件(11月18日締切)、化審法の施行と経済産業省の輸入通関の通知(11月22日)、英国のPOPs規則の改正案、EUのPOPs規則2本(異議の期間中で官報は未掲載)、中国の新化学物質の登記弁法、米国ミネソタ州とフランスの年末の期限。公布や告示を待っているもの
使うもの
e-Govパブリック・コメント、官報、経済産業省の通知、英国の立法情報サイトと議会の手続の記録、EUR-Lexと欧州議会の手続の記録、中国の生態環境部のページ、ミネソタ州の汚染管理局とフランス環境省のページ
要点
使っている原料の成分を、ラベル・SDS対象物質案の35物質と突き合わせ、意見があれば11月18日16時までに出す。輸入する部材・製品は、11月22日までにHSコードを経済産業省の別紙2と突き合わせる。英国へ出す品番は、改正案の上限値と12月16日の施行予定を確かめる

11月の大きな動きは2つある。11月18日が、ラベル・SDSの対象物質案など3件の意見募集の締切になる。11月22日には、LC-PFCA・クロルピリホス・MCCPが化審法の第一種特定化学物質に加わり、輸入通関の通知も改まる。

11月中に品証が手を付けることは3つある。使っている原料の成分を、ラベル・SDS対象物質案の35物質と突き合わせる。輸入する部材・製品は、11月22日までにHSコードを別紙2と突き合わせる。英国へ出す品番は、英国の改正案の上限値を確かめる。

目次

11月の動きの一覧

  • 安衛法:ラベル・SDSの対象物質案など3件の意見募集。10月20日にe-Govで始まり、11月18日16時が締切。35物質を加える案、裾切値の告示案、濃度基準値の指針の改正案の3件。原料を受け取る会社と、調合品を社外へ渡す会社が関係する。
  • 化審法:LC-PFCA・クロルピリホス・MCCPの施行と、輸入通関の通知。11月22日。これらを使った製品を輸入する会社が関係する。
  • 英国:POPs規則の改正案。議会に提出済みで、施行は12月16日の予定。英国へ化学品や部材を出す会社が関係する。
  • EU:POPsの委任規則2本(LC-PFCA・MCCP)。異議の期間中で、官報には未掲載。EUへ出す会社が関係する。
  • 中国:新化学物質環境管理登記弁法。部令第40号。10月24日に署名された。中国へ化学品を出す会社が関係する。
  • 公布待ち:SDS省令、消火器等の省令、表示事項の告示。10月30日号までの官報に載っていない。
  • 米国ミネソタ州とフランスの年末の期限。ミネソタ州は11月14日と12月14日、フランスは12月31日。製品中のPFASを扱う会社が関係する。
  • POPs条約:附属書E・Fの情報提出。10月号で書いた依頼の続き。締切は12月4日。

ラベル・SDS案は11月18日が締切

厚生労働省は10月20日に、e-Govパブリック・コメントで3件の意見募集を始めた。受付の締切は、どれもe-Govは11月18日16時で、電子メールと郵送は同日必着だ。

  • 政令案・省令案:ラベル表示とSDS交付の義務の対象に35物質を加え、フタル酸ジエチルを1物質外し、4物質の名称等を改める(水酸化リチウムは一水和物を、2-メルカプトベンゾチアゾールは亜鉛塩を対象に加え、炭化けい素は非繊維状のものを外す)。公布は2027年2月、施行は2029年4月1日の予定で、ラベル表示には1年の経過措置を置く。フタル酸ジエチルの削除と、炭化けい素・メタほう酸バリウムの改正は、公布の日に施行する予定だ。
  • 裾切値の告示案:裾切値は、混合物に入っていても、含有量がこの基準未満なら義務の対象から除かれる値だ。告示は2027年2月、適用は2029年4月1日の予定。
  • 濃度基準値の技術上の指針の改正案:フタル酸ジエチルを指針から削除する。公示は2027年2月の予定で、適用は公示の日。

35物質の名称は、政令案・省令案のページにある「概要別表」で確かめる。意見は、理由を付けて、e-Gov、電子メール、郵送のどれかで出す。様式は自由で、日本語に限る。電子メールは添付ファイルを開けないので、本文に書く(政令案・省令案の意見公募要領による)。意見募集の結果は、11月1日時点で出ていない。

11月22日の施行と輸入通関

化審法施行令の改正(令和8年政令第171号)が11月22日に施行され、LC-PFCAとその塩、LC-PFCA関連物質、クロルピリホス、MCCPが第一種特定化学物質に加わる。e-Gov法令検索の化審法施行令には、「令和8年11月22日 施行」の改正が未施行として載っている。

経済産業省は10月2日付のお知らせで、輸入通関の手続を11月22日から改めるとした。旧通知は11月21日限りで廃止する。別紙1には、通し番号41〜44として、LC-PFCAとその塩、LC-PFCA関連物質、クロルピリホス、MCCPが加わる。別紙2には、これらが使われている場合に輸入できない製品が、関税定率法別表の区分とともに加わる。

LC-PFCAとその関連物質では、潤滑油、はつ水・はつ油の処理をした生地・衣服・床敷物、塗料、接着剤、消火器と消火薬剤、ワックス、業務用写真フィルムなどが載る。クロルピリホスは木材用の防虫剤、MCCPは潤滑油、切削油及び作動油などが載る。輸入する部材と製品は、HSコードを別紙2と突き合わせ、該当があれば仕入先に含有を確かめる。3物質の日本とEUの違いは、POPs 3物質の記事にある。

英国のPOPs改正案

英国が、POPs規則(規則(EU) 2019/1021)を改める案を、議会に出した。名称は「The Persistent Organic Pollutants (Amendment) Regulations 2026」で、10月14日に上院と下院に提出された(まだ制定されていない案)。施行は12月16日の予定だ。適用範囲はイングランド、ウェールズ、スコットランドで、改めるのは附属書Iの第A部だ(legislation.gov.uk)。

議会の手続の記録(Procedure Browser)には、下院で承認の動議が出たことと、上院の二次立法審査委員会(SLSC)が10月27日に意見を付けなかったことが載る。承認の議決は、11月1日時点で載っていない。ウェールズ政府の書面声明(10月19日付)は、ストックホルム条約の改正が英国について12月16日に効力を生じる予定だとしている(GOV.WALES)。

案には、非意図的な微量混入として許される濃度の上限が、物質ごとに載る。主なものは次のとおりだ。

  • LC-PFCA:酸と塩の合計0.025 mg/kg、関連物質の合計0.26 mg/kg
  • MCCP:物質・混合物で3重量%、成形品で0.45重量%。ケーブルのリサイクル材を使った成形品は、2028年12月16日まで2重量%
  • クロルピリホス:0.01 mg/kg
  • デクロランプラス:2028年4月15日まで1,000 mg/kg、2028年4月16日から1 mg/kg
  • UV-328:2027年8月3日まで100 mg/kg、2027年8月4日から2029年8月3日まで10 mg/kg、2029年8月4日から1 mg/kg
  • PFOS:塩を含む合計0.025 mg/kg、関連物質の合計1 mg/kg
  • テトラ・ペンタ・ヘキサ・ヘプタ・デカBDE:合計で、混合物・成形品10 mg/kg。例外の上限値は別に定める

MCCPは、EUの委任規則の基本の上限値が1,000 mg/kg(0.1重量%)で、英国の案とは数字が違う。LC-PFCAは、EUの委任規則も0.025 mg/kgと0.26 mg/kgで、英国の案と同じだ。英国向けの品番は、EUの数字ではなく、英国の案の数字と12月16日で確かめる。案のため、議会で承認されるまでは確定ではない。

EUのPOPs規則2本は異議の期間中

LC-PFCAの委任規則(C(2026) 6059、9月7日付)とMCCPの委任規則(C(2026) 6262、9月11日付)は、EU出版局のデータベース(CELLAR)で、10月30日付けまでに官報(OJ L)の掲載が見つからない。どちらも、掲載の20日後に発効し、12月16日から適用される。

欧州議会か理事会が通知から2か月以内に異議を出さなければ発効する(POPs規則第18条(6))。理事会が受け取ったのは9月7日と9月11日で、受領日から数えた単純な2か月後は11月7日と11月11日になる。この期間は、欧州議会か理事会の発議で2か月延びる。両機関が期間内に異議なしと伝えれば、その時点で要件を満たす。

欧州議会の手続の記録は、LC-PFCAが2026/2858(DEA)、MCCPが2026/2885(DEA)だ。どちらも9月16日に環境・気候・食品安全委員会(ENVI)への付託が告げられたところで止まり、状態は「委員会の決定待ち」で、2か月の延長の記録もない(11月1日に確認)。異議なしの通知が出たかは、確認できていない。

中国の登記弁法

中国の生態環境部は、「新化学物质环境管理登记办法」(部令第40号)を、10月15日の部務会議で可決し、10月24日に署名した。公布の日から施行され、部令第12号は同時に廃止される(第48条。生態環境部のページ)。登記は常規・簡易・形式の3種で(第4条)、申請者は、中国国内で法に基づき登記し、独立して法的責任を負える、生産・輸入の企業事業単位に限る(第11条)。

意見募集稿にあった、備案済みの者に12月31日までの登記を求める条文は、公布された本文では見つからない。条文の読み方と、日本の輸出側がやることは、中国の登記弁法の記事にまとめた。

まだ官報に出ていないもの

11月1日時点で最新の官報は10月30日号で、10月31日と11月1日は土日で発行がない。10月1日から30日までの号(本紙と号外)の目次(10月30日号ほか)に、次の3件は載っていない。

  • SDS省令:案は8月24日から9月23日に意見募集があり(案件番号495260154)、結果は11月1日時点でe-Govに出ていない。厚生労働省の概要では、公布は2026年10月の予定、施行は2030年4月1日。
  • 消火器等の省令案と、表示事項の告示案:9月1日から9月30日まで意見募集があり(案件番号195260054、195260055)、結果は11月1日時点でe-Govに出ていない。案の概要では、公布・告示は11月上旬、施行・適用は11月22日。

ミネソタ州とフランスの期限

米国ミネソタ州の汚染管理局(MPCA)は、製品中のPFASの報告について、初回の報告期限が9月15日だったことと、期限の延長を受けた製造者の報告期限が12月14日であることを載せている。延長を受けた製造者が免除を申請するなら、11月14日の消印までに出す。以降の年次の更新は、必要な場合に毎年2月1日が期限だ(MPCA)。

フランス環境省のよくある質問(FAQ)によると、政令 n° 2025-1376(2025年12月28日付)の第2条で、2026年1月1日より前に製造したPFAS入りの製品は、その後12か月の間、上市できる。バルク品は、製造が2026年1月1日より前なら、2026年12月31日まで包装して上市できる。猶予の間も、REACHやPOPs規則の上限を超えるPFASを含む物は上市できない(環境省のFAQ)。

IMDS・CMPの更新状況

製品含有の調査に回答する会社に関わるお知らせを、11月1日に一覧で確かめた。IMDSの最新は10月16日付(MCCPの物質グループ)で、CMPの最新は10月15日付(講座説明会の申込)と10月9日付(外部リストVer3.00.00の関連資料)、chemSHERPAの最新は9月8日付だ。11月に入ってからの新しい更新は、一覧に出ていない。

これからの日付

  • 公布待ち:SDS省令(概要では2026年10月公布の予定だった。施行は2030年4月1日の予定)
  • 11月上旬(予定):消火器等の省令の公布と、表示事項の告示
  • 11月7日・11月11日:EUのLC-PFCA・MCCPの委任規則で、理事会の受領日から単純に数えた2か月が過ぎる日(延長がありうる)
  • 11月14日:ミネソタ州のPFAS報告で、延長を受けた製造者の免除申請の消印期限
  • 11月18日:ラベル・SDS対象物質案など3件の意見募集の締切(e-Govは16時、電子メール・郵送は同日必着)
  • 11月22日:化審法でLC-PFCA・クロルピリホス・MCCPが第一種特定化学物質に加わる日。輸入通関の通知の実施も同じ日(旧通知は11月21日限りで廃止)。消火器等の基準の施行も同じ日の予定
  • 12月4日:POPRC.22の情報提出の締切
  • 12月14日:ミネソタ州のPFAS報告で、延長を受けた製造者の報告期限
  • 12月16日:EUのLC-PFCA・MCCPの委任規則の適用予定日。英国のPOPs改正案の施行予定日
  • 12月31日:フランスで、2026年1月1日より前に製造したPFAS入り製品の上市の猶予が終わる日(環境省のFAQによる)
  • 2027年2月(予定):ラベル・SDS対象物質案の政令・省令の公布(フタル酸ジエチルの削除などは公布の日に施行)。裾切値の告示と、濃度基準値の指針の改正
  • 2029年4月1日(予定):ラベル・SDSの対象に35物質を加える案の施行(意見募集中)

私なら、11月18日の意見募集に向けて、使っている原料の成分とラベル・SDS対象物質案の35物質との突き合わせを、最初の確認にする。締切が決まっているからだ。次に、輸入品のHSコードを別紙2と突き合わせ、英国向けの品番のMCCPとLC-PFCAの上限値を確かめる。12月号では、EUのPOPs規則2本の官報掲載、SDS省令と消火器等の省令の公布、英国の改正案の承認を追う。

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出典

免責:このページは、e-Govパブリック・コメント、官報、経済産業省、英国の立法情報サイトと議会、EUR-Lexと欧州議会、中国の生態環境部などが公開している資料をもとに、2026年11月1日時点でまとめたものです。法令の解釈を保証するものではありません。自社が対象になるかは、条文と所管省庁の案内、取引先の要求書で確かめてください。

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この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

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