4M変更の連絡の手順:客先へ申請する範囲と申請書に入れる6つの欄

4M変更の連絡のガイドです。私は品質保証の仕事で、客先への変更の申請と、仕入先から届く変更の連絡の受付をしています。客先の要領や参照した資料の改版があれば書き直します(確認日:2026年10月3日)。

場面
設備・材料・工程・外注先などを変える計画が決まり、客先へ申請するか、いつ出すかを決める。仕入先から変更の連絡を受ける場面にも使う
対象
4M(人・設備・材料・方法)の変更の事前申請。申請の要否と期限は、客先の変更申請の要領と品質契約に従う
使うもの
客先の変更申請の要領と様式、QC工程図と作業手順書、初物(初品)検査の記録
要点
申請の要否は社内の感覚で決めず、客先の要領の区分に当てて決める。承認が出るまで変えず、申請しない変更も社内で記録する

4M変更は、変える前に客先へ申請し、承認を得てから変えます。申請が要るかどうかと、何か月前までに出すかは、客先の変更申請の要領と品質契約で決まります。要領を受け取っていない客先でも、設備、作業条件と工程、仕様、構成部品、外注先、生産中止の6つの区分は、申請の候補として洗い出してください。

申請書には、変更の理由と実施予定日、変更前後の比較、影響の評価と結果、初物検査の項目と結果、QC工程図と手順書の改訂、納期とコストへの影響の6つを入れます。出したあとは、承認と切り替えの日を客先と合わせてから変えます。

目次

申請が要る変更の範囲

次の表は、ある素材メーカーが取引先に配っている変更申請の要領(出典に挙げた要領)の区分を、部品メーカーの立場で読み替えたものです。区分の名前と細かさは客先ごとに違うので、自社の客先の要領と突き合わせて使います。

区分 例 申請から漏れやすい変更
設備 製造設備・検査設備の新設や更新、治具や型の変更、設置場所の移動 同じ機能の設備への入れ替え、同じ工場の中での移動
作業条件と工程 設定値や手順の変更、工程検査・出荷検査の項目や測定器の変更、QC工程図の改訂、切削剤や洗浄液の変更、製造拠点の移転 数値で測っていた検査を限界ゲージでの判定に替える、検査の方式(全数・抜き取り)を変える
仕様 材質や外観の変更、梱包と輸送方法の変更、ラベルの記載の変更 製品に触れる副資材(接着剤、機械油、梱包材)の変更
構成部品 同じ仕様の部品の購入先の変更、生産中止による代替品への切り替え 複数購買にするための購入先の追加
外注先 内製から外注へ、外注先の追加や変更 外注していた工程を内製に戻す(以前に内製していた工程でも)
生産中止 自社の都合で供給をやめる 型式名が変わる仕様変更(要領によっては生産中止として申請する)

右の列は、社内で「品質に影響しない」と判断されて申請から漏れる変更です。客先の要領が申請の対象に挙げている区分に当たるなら、影響の見込みに関係なく申請します。迷う変更は、変える前に客先の窓口へ問い合わせ、要否の回答を記録に残してください。

申請の期限の決め方

期限は客先の要領に書いてあります。出典の要領は、原則として変更予定日の1年前までの申請を求めています(2019年の改訂で6か月前から1年前に延びた)。期限の書いていない客先には、受け付けから承認までにかかる期間を問い合わせ、その回答を期限として扱います。

実施予定日からは、次の順に逆算します。

  1. 客先の審査と承認にかかる期間を引く(要領の期限か、問い合わせた回答)。
  2. 申請書に付ける評価の期間を引く(試作、初物検査、必要なら耐久などの評価)。
  3. 残った日を、社内で変更の中身を決めて評価の計画を立てる締め切りにする。

期限に間に合わないと分かったら、申請書がそろうのを待たずに、電話などで客先へ先に知らせます。そのうえで申請書を出し、評価の結果を出す日を書き添えます。

申請書に入れる6つの欄

客先の様式があれば、それに従います。欄の名前が違っても、次の6つの中身が入っていれば、審査する側は承認するかどうかを決められます。

欄 書くこと
変更の理由と実施予定日 なぜ変えるか(設備の老朽化、材料の供給停止、能力の不足など)と、切り替えたい日
変更前後の比較 設備、材料、工程、外注先などを、変更前と変更後で並べる。変わらない所も「同じ」と書く
影響の評価と結果 変更で起こりうる不具合、評価の項目と方法、結果。評価が終わっていなければ、計画と結果を出す日
初物検査の項目と結果 変更後の条件で作った最初の品の検査項目と結果。寸法と外観のほか、変更に関係する特性を入れる
QC工程図と手順書の改訂 改訂する文書の名前と版、作業者への教育の予定と記録
納期とコストへの影響 切り替えの前後で供給が止まらないか、作り置きの在庫の計画、価格への影響の有無

影響の評価の欄が空のままだと、客先は何を見て承認すればよいか分かりません。評価の途中で出すなら、評価の計画と結果を出す日を書き、結果を追って出してよいかを客先に確かめます。

承認から切り替えまで

  • 承認が出るまで変えない。承認の回答に指示事項があれば、切り替えの前に済ませる
  • 切り替えの日は客先と合意して決め、切り替え後の最初のロットを識別して出す(識別の方法は客先の指示に合わせる)
  • 申請書、承認の回答、切り替えたロットを1つの記録にまとめ、変更の履歴を後からたどれるようにする
  • 変更をやめる、遅らせるときは客先へ連絡する。承認のあとにやめるなら、元に戻す申請を出し直す

仕入先から連絡を受けるとき

受ける側に回ったときも、同じ6つの欄で中身を確かめます。仕入先の変更が自社の製品に関わるなら、自社の客先への申請が要るかを、自社の客先の要領で確かめてください。購入先や副資材の変更は、仕入先にとって小さな変更でも、自社の客先の要領では申請の区分に入ることがあります。

仕入先に自社の要領を渡すときは、二次以降の仕入先にも同じ扱いを求めるかを書き添えます。要領をさらに先へ配ってもらうなら、機密保持の取り決めと、配った先と版の管理を一緒に頼みます。

申請しない変更も記録する

日々の生産では、作業者の交代、設備の修理のあとの再開、材料のロットの切り替えのように、申請までは要らない変化が起きます。こうした変化も、日付、工程、何が変わったか、変化のあとに確かめた品質の結果を、その日のうちに記録します。不具合が出たときに、どのロットまでさかのぼって調べるかを絞る材料がこの記録です。

私なら、客先ごとの申請の期限と様式を1枚の一覧にして、変更の計画が出た日に一覧と突き合わせます。

変更の内容・理由・品質への影響・承認の要否を順に書く連絡票と、届いた連絡を1件1行で控える受付台帳を、ものづくりポータルの4M変更連絡票の様式(Excel)に置いています。仕入先から連絡を受ける側の欄も付けました。

連絡が漏れたあとの立て直しは、ものづくりハンドブックのF2 4M変更の連絡漏れが内部監査で発覚した場面で、判断の順をたどれます。

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出典

免責:このページは、4M変更の連絡の手引きと書式の作例です。申請の要否、期限、様式は、客先の要領と品質契約で確かめてください。

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この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

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