短い期限のクレーム一次回答:流出品の処置を先に決め、分かっている事実だけで返した

期間
2026年4〜9月(いまから半年以内)のクレーム1件
対象
客先から短い期限で求められた、品質クレームの一次回答
体制
筆者(品質保証)が一次回答をまとめ、客先へ返した
結論
流出品の処置を先に決め、一次回答には分かっている事実だけを書いて返した。効いた

クレームの一次回答を短い期限で求められたら、原因の調べを待たずに流出品の処置を決め、回答には分かっている事実だけを書いて返す。私はこの半年のうちに、この形で一次回答を出した。結果は効いた。

客先からの品質クレームで、一次回答の期限は短く切られていた。その時点で、原因はまだ分かっていなかった。

目次

流出品の処置を先に決めた

原因が分かるまでの間も、自社の在庫と出荷待ちの品、客先の手元にある品はそのまま残っている。流出品の処置を決めれば、調べている間に出荷されたり使われたりする量を止められ、客先には代わりの品を出す日を示せる。

原因より先に流出品の処置を決めたのは、客先の生産活動を止めないためだった。

流出品の処置で決めること

流出品の処置では、不具合のおそれがある品について次の4つを決める。

  • 自社の在庫と出荷待ちの品を止める範囲(どのロットまで止めるか)
  • 止めた品の扱い(選別するか、選別せずに保留にするか)
  • 客先の手元にある品の扱い(客先での選別、返品、置き換え)
  • 代わりの品を出す日と、出すロット

止める範囲は、同じ設備、同じ材料ロット、同じ期間に作った品まで仮に広げ、確かめた分から解除する。確かめる前に範囲を狭く決めると、調べている間に出荷が進む。

一次回答に書く事実の範囲

一次回答には、分かっている事実だけを書いて返した。事実は、何で確かめたかと一緒に並べる。

書く事実 何で確かめたか(例)
不具合の内容、数量、見つかった場所と日付 客先からの連絡、現品、写真
該当する品のロット、製造日、出荷数 自社の製造と出荷の記録
流出品の処置で決めたことと、済んだ所 止めたロットと数量の記録

現品を見て確かめた事実か、客先の連絡だけで知った事実かは書き分ける。確かめた手段が書いてあれば、客先はどこまでを確かな話として社内に回せるかを決められる。原因の見当まで書く場合は、事実の欄とは分けて「推定」と明記し、確かめる方法と時期も入れる。

次の連絡と是正処置報告

原因と対策は、一次回答のあとに返す。一次回答の末尾に、次に連絡する日と、その日に何を報告するかを1行入れておく。是正処置報告では発生原因と流出原因を分けて書き、一次回答で決めた流出品の処置は暫定処置の欄へ移す。

短い期限の一次回答では、自社の在庫、出荷待ち、客先の手元の3か所について、止めるか選別するかを最初に決める。そのうえで確かめた事実を、確かめた手段と一緒に一次回答の欄へ書き、期限の中で返す。末尾には、次に連絡する日を1行添える。

止める範囲の決め方を演習で確かめるなら、ものづくりハンドブックのB2 初動・封じ込め(流出を止める)を開く。狭く止めすぎる場面、広げすぎる場面、あとから広げる場面の3つの演習がある。3つ目の解説は「事実が増えたら範囲を広げてよい」で始まり、初めに絞った範囲をあとから広げるとき、客先へ理由を添えて伝える形まで載っている。

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一次回答に何を先に書くかを、客先がその回答で得たいもの(生産を止めずに済む段取り)から考えるなら、『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典)が説くベネフィット(買い手がその品で得たいこと)の考え方が手がかりになる。

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免責:筆者個人の経験に基づく記録です。クレームの一次回答の期限と様式は、客先との取り決めで確かめてください。

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この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

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