工程能力指数 Cp・Cpk の読み方と計算式:前提・1.33・データ数による揺れ

工程能力指数 Cp・Cpk の式と読み方、客先に出す前に確かめることをまとめたガイドです。参照した資料の改版があれば書き直します(確認日:2026年10月10日)。

場面
客先から工程能力指数(Cpk など)の提出を求められたとき、または工程の実力を社内で数字にするとき
対象
寸法のように測定値が連続して取れる特性。規格が上限だけ、下限だけの特性も扱う。不良率のように数える特性は対象外
使うもの
測った順に並べた測定値、図面の規格の上限と下限、管理図、ヒストグラム。計算は表計算か、ものづくりポータルの計算の道具(記事の後半で案内)
要点
安定した工程のデータで計算し、何個を、どの期間で、どの標準偏差で出したかを添えて報告する。1.33 などの基準値は客先の要求書が先

工程能力指数は、規格の幅が工程のばらつきの何倍あるかを表す数字です。規格の幅を標準偏差の6倍で割ったものが Cp、平均に近い側の規格までの距離を標準偏差の3倍で割ったものが Cpk になります。

計算の前提は、工程が安定していること、分布が正規分布に近いこと、データ数が足りることです。1.33 は目安として広く使われる値で、合否の線は客先の要求書で決まります。データが少ないと値は大きく揺れるので、95%の幅の下端も確かめます。

目次

Cp と Cpk の式と読み方

  • Cp=(USL − LSL) ÷ 6s:規格幅を 6s で割った倍率。平均の位置は見ない
  • Cpu=(USL − x̄) ÷ 3s:上側の規格までの距離を 3s で割った倍率
  • Cpl=(x̄ − LSL) ÷ 3s:下側の規格までの距離を 3s で割った倍率
  • Cpk:Cpu と Cpl の小さい方。平均に近い側の規格に対する余裕

USL は規格の上限、LSL は下限、x̄ は平均、s は n−1 で割った標準偏差です。規格が片側だけの特性は、規格がある側の Cpu か Cpl だけを使い、Cp は求めません。Cpk は Cp と中心のずれ k で、Cpk=Cp×(1−k) とも書けます。k は規格の中心と平均の差を、規格幅の半分で割った値です。

式は NIST/SEMATECH e-Handbook の 6.1.6 と同じです。JIS Z 8101-2:2015 の定義では、Cp は規格幅を参照区間の長さで割った値で、正規分布なら参照区間の長さが 6s に当たります。

計算の例:ばらつきと中心のずれ

作例です。外径の規格が 10.000 ± 0.050 mm(USL=10.050、LSL=9.950)で、データ数が50個の工程 A と B を比べます。数値は説明用に作ったもので、実在の工程の値ではありません。

項目 工程 A 工程 B
平均(mm) 10.020 10.000
s(mm) 0.010 0.020
Cp 1.67 0.83
Cpu 1.00 0.83
Cpl 2.33 0.83
Cpk 1.00 0.83
95%の幅 0.78〜1.22 0.64〜1.02

どちらも Cpk は 1.33 に届きません。A は Cp が 1.67 あるのに Cpk が 1.00 で、平均が上側へ 0.020 mm ずれているのが原因です。k=0.4 なので、1.67×(1−0.4)=1.00 と合います。平均を規格の中心へ戻せれば、Cpk は Cp と同じ 1.67 まで上がります。

B は平均が中心にあり、Cp=Cpk=0.83 です。平均を動かしても上がらないので、ばらつきそのものを小さくします。

計算の前に確かめる前提

  • 工程が安定していること。JIS Z 8101-2 の定義では、工程能力は統計的管理状態にあることが実証された工程についての推定値です。段取り替え、材料ロットの切り替え、刃具の摩耗で平均が動くデータは、ばらつきが大きく出ます。計算の前に管理図で、管理限界の外の点と、中心線の片側に点が続く・上がり続けるといった並びの癖を見ます。
  • 分布が正規分布に近いこと。Cp と Cpk は正規分布を仮定した統計量です。振れや平面度のように 0 に近いほど良い特性は、片側へ裾を引いた形になることがあります。ヒストグラムが左右ほぼ対称で、ふた山になっていないことを見て、崩れていれば層別するか、正規分布以外に対応した計算方法を使います(この記事では扱いません。使った方法は報告に書きます)。
  • データ数と取り方が足りていること。NIST のハンドブックは、指数の推定が当てになるのは独立したデータがおよそ50個以上からとし、工程能力の調査には100個以上が要るとしています。ある時間帯に連続して作った100個には、ロットや段取り替え、シフトの違いによる変動が入りません。
  • 測定のばらつきが小さいこと。測定値には製品のばらつきと測定のばらつきが混ざり、測定が粗いと工程能力は実際より低く出ます。指数を出す前に、GR&R(同じ物を繰り返し測って、測定の揺れの大きさを見る評価)で確かめます。

1.33 はどこで決まる数字か

1.33 は 4÷3 の丸めで、平均に近い側の規格まで標準偏差の4倍の余裕があることを表します。平均が規格の中心にあるとき、Cp が 1.00 なら規格外は約0.27%、1.33 なら約64ppm、1.66 なら約0.6ppm です。NIST の表はこの対応を示すもので、合否の線は示していません。

用語を定める JIS Z 8101-2:2015 は、工程能力指数の定義と式を示す規格で、基準値は示していません。管理図の規格 JIS Z 9020-2 の2016年版は、Cp が 1.33 のときを一般的に許容できる最小の値としています。最低要求事項は、供給業者と顧客の交渉で決まります。現行の版(2025年9月改正)で同じ記述かは確かめていないので、規格票で確かめてください。

公開されている客先の要求書でも、指数の名前・値・データ数はそろっていません。

  • Ford の PPAP 追加要求(2026年6月発効):Ppk を 1.67 以上。300個以上の母集団から等間隔に、25群以上・群の大きさ5以上・計125個以上。全ての工具・キャビティ・シフトを含める
  • Enerpac の供給者向け PPAP 手引き(2021年1月版):新規部品・変更時は Cpk、既存の部品を初めて納めるときは Ppk。重要特性は 1.33 以上、安全に関わる特性は 1.67 以上。25群以上・計100個以上(破壊試験などは30群×2個も可)。多数個取りはキャビティごとに報告
  • ミネベアミツミのサプライヤー品質保証マニュアル(2020年6月施行):量産は Cpk(X̄-R 管理図の σ)、試作段階は Ppk。車載用は 1.67、非車載用は 1.33 を目標とし、車載用は 1.33 未満、非車載用は 1.00 未満で全数検査と改善。指数用の個数の指定は無し(PPAP の生産条件は1〜8時間または300個以上の連続生産)

同じ 1.33 でも、求める指数もデータ数も要求書で違います。境界の「以上」と「超」も、同じ文書の中で混在しています。客先の要求書が先で、1.33 は指定が無いときの目安です。

私が受け取る客先の要求書にも、Cpk 1.33 を求めるものと 1.67 を求めるものがあります。

Pp・Ppk は何が違うか

JIS Z 8101-2 は、統計的管理状態にあると実証された工程の指数を工程能力指数(Cp・Cpk)、実証されているとは限らない工程の指数をプロセスパフォーマンス指数(Pp・Ppk)と分けます。式の形は同じで、正規分布なら分母は 6s です。群内のばらつき(R̄÷d2。R̄ は群の範囲の平均、d2 は群の大きさで決まる係数で、5個なら 2.326)を標準偏差の代わりに使えるのは、安定した工程に限られます。JIS Z 8101-2 も、安定していない工程では群内のばらつきが小さく出ることが多いので、注意深く使うよう求めています。

作例です。規格幅は上と同じ 0.100 mm、平均は規格の中心で、群の大きさ5の25群を測ったとします。R̄=0.0233 mm と d2=2.326 から、群内の標準偏差は 0.0233÷2.326=0.01002 mm で、これで出した値は 0.100÷(6×0.01002)=1.66 です。全データの s=0.0140 mm で出すと 0.100÷(6×0.0140)=1.19 になります。2つの標準偏差がこれだけ離れるのは、群の間で平均が動いているしるしです。安定が示せないこの工程で出せるのは、Pp の 1.19 だけです。

ISO 22514-4:2016 の前文は、安定の有無で capability と performance を分ける理由を、不適切な指数の公表で実力を取り違えた会社が業界にあったためと述べます。呼び名と使い分けは資料で違い、上の表のように Ppk を求める要求書もあります。

データ数が少ないと値が揺れる

Cpk は標本から推定した値で、取り直せば違う値になります。NIST のハンドブックにある近似式で、95%の幅は Cpk ± 1.96 × √(1÷(9n) + Cpk²÷(2(n−1))) です。n が25個以上で使える近似で、正規分布と工程の安定が前提です。

個数 Cpk 1.33 の95%の幅 下端が 1.33 以上になる Cpk
30個 0.97〜1.69 1.82
50個 1.05〜1.61 1.68
100個 1.13〜1.53 1.56
125個 1.15〜1.51 1.53
300個 1.22〜1.44 1.46

30個で Cpk が 1.33 と出ても、本当の値が 1.00 を下回る可能性は否定できません。幅の下端が 1.33 を超えると言うには、30個なら 1.82、125個でも 1.53 の値が要ります。ISO 22514-4:2016 の前文も、指数は点推定にすぎないので、可能な限り信頼区間を計算して報告するよう勧めます。

値が悪かったときの動き

基準に届かないときは、安定と測定を先に確かめ、Cp と Cpk の差でばらつきの問題か中心のずれかに分けます。

  1. 安定しているかを管理図で見る。外れた点があれば、原因を取り除いてからデータを取り直す。安定していない工程の指数は、測った期間の成績にしかならない。
  2. 測定の揺れを確かめる。GR&R で揺れが大きければ、工程を触る前に測定を直す。
  3. Cp と Cpk を見比べる。Cp が高く Cpk が低いなら中心のずれで、狙い値や加工条件の補正で上がる。Cp も低いなら、平均を動かしても上がらない。JIS Z 8101-2 も、安定した工程の能力は、通常は変動を減らす変更か平均の調節で改善されるとする。
  4. ばらつきが原因なら層別する。設備、金型のキャビティ、材料ロット、シフトで分けて、ヒストグラムと管理図を見る。混ぜたままでは標準偏差が大きく出て、どこに手を入れるかが見えない。
  5. 中心が原因なら補正する。補正したら新しい条件で取ったデータで計算し直し、管理図の中心線と管理限界も引き直す。
  6. 届くまでの検査を客先と決める。全数検査などの暫定の扱いを先に合意する。規格が工程に合っていなければ、設計側と見直しを相談する。

客先に出すときに添える項目

データ数と期間は、客先が指定していればそれに従います。指定が無ければ、25群以上・100個以上を目安にして客先と先に決めておきます。取り方は、ロット・シフト・段取り替えの違いが入るように期間をまたぎます(上の表の Ford の要求書も、全ての工具・キャビティ・シフトを含めるとしています)。JIS Z 9020-2 の2016年版も、少なくとも25群にわたって安定を確かめてから、工程能力を評価するとしています。破壊試験などで個数が取れない特性は、測定方法と評価方法、信頼区間を添えるかを先に取り決めます。

  • 特性と規格:図面番号、USL と LSL、両側規格と片側規格の別
  • データ数と取り方:1群の個数と群の数、期間、ロット・設備・シフト・キャビティの範囲、測った順
  • 指数の名前(Cpk・Ppk)と、標準偏差の取り方(全データの s・群内の R̄÷d2)
  • 平均、標準偏差、最小、最大、ヒストグラムと管理図、95%の幅の下端
  • 測定器と GR&R の結果、分布の確認結果(正規分布でない特性は使った計算方法)

客先に Cpk を求められたとき、私はデータ数と期間を客先の指定どおりにしています。

客先に出す Cpk には、データ数・期間・標準偏差の取り方・95%の幅を添え、基準値は要求書で先に確かめます。

出典:NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods 6.1.6/JIS Z 8101-2:2015(日本規格協会)/JIS Z 9020-2(日本規格協会、本文を確認した版は2016年)/ISO 22514-4:2016/Ford Motor Company Customer-Specific Requirements for PPAP/Enerpac Supplier PPAP Manual/ミネベアミツミ サプライヤー品質保証マニュアル

ものづくりポータルの工程能力指数(Cp・Cpk)の計算は、測定値を貼ると Cp・Cpk と95%の幅、規格から外れる見込みを出します。道具の計算は全データの s によるので、群内の標準偏差(X̄-R 管理図の σ)での Cpk は別の計算です。計算の前に工程が安定しているかは、群で測る値ならX̄-R 管理図、1個ずつ測る値ならI-MR 管理図で見られます。測定の揺れは簡易 GR&Rで確かめます。

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免責:このページは、製造現場でよくある場面をもとにした事例と、書式・手順の作例です。計算例の数値は説明のための作例です。基準値や報告の条件は、客先の要求書と社内の手順書で確かめてください。

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この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

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