化学物質規制の期限一覧:11月22日から化審法で輸入できない製品が出る(2026年11月時点)

場面
客先から「この物質はいつから規制されるか」「うちの部材は期限に掛かるか」と聞かれ、日付と根拠を返したい
対象
日本(化審法・労働安全衛生法・外為法)、EU(RoHS・REACH・POPs 規則ほか)、英国、フランス、米国(TSCA と州法)、ストックホルム条約の、2026年11月から2030年までの期限
使うもの
各国の法令の原文と官報、社内の期限の一覧、仕入先の回答
要点
期限は「確定」か「案」かを分けて返す。EU の POPs 規則のように、成形品に6か月の猶予がある規制もある。日付が決まっていない物は、次に何が出たら決まるかを添える

いちばん近い期限は、2026年11月22日の化審法です。LC-PFCA・クロルピリホス・MCCP が第一種特定化学物質に加わり、潤滑油やはつ水はつ油の生地など、指定された製品は輸入できなくなります。

12月は期限が続きます。11日に EU の RoHS の 6(a) の除外が終わり、16日にはストックホルム条約の改正が多くの締約国で発効します。EU の POPs 規則の LC-PFCA と MCCP も、条文には12月16日の適用が書かれていますが、11月8日の時点で官報に載っていません。表の「確度」の列は、公布済みの物を「確定」、案や官報待ちの物を「案」として分けました。

目次

2026年12月までの期限

期限日 地域と法令 対象と、その日に起きること 確度
2026年11月18日 日本:労働安全衛生法施行令・規則の改正案 ラベル表示・SDS 交付の対象に35物質を加える案の意見募集の締切(16時)。施行は2029年4月1日の予定 案
2026年11月22日 日本:化審法施行令(令和8年政令第171号) LC-PFCA(炭素数9〜21)とその塩・関連物質、クロルピリホス、MCCP が第一種特定化学物質に加わる。製造・輸入は許可制で、含有率による適用除外はない。潤滑油、はつ水はつ油の生地・衣服、塗料、接着剤など、指定された製品は輸入できない 確定
2026年11月22日 日本:外為法(輸出承認) 同じ4物質群が、輸出承認の対象に加わる 確定
2026年11月22日(予定) 日本:消火器・泡消火薬剤の技術上の基準の省令と、表示の告示 LC-PFCA を使った消火器と泡消火薬剤の保管・表示の基準。11月8日の時点で公布されていない 案
2026年12月11日 EU:RoHS 指令 附属書III 6(a)・6(b)-I(カテゴリ1〜7・10) 鋼・亜鉛めっき鋼の鉛(0.35%)と、再生アルミくず由来のアルミの鉛(0.4%)の除外が終わる。どちらも更新できない 確定
2026年12月14日 米国ミネソタ州:州法 116.943 延長を受けた製造者が、PFAS を意図的に加えた製品を初めて報告する期限。以後は毎年2月1日 確定
2026年12月16日 ストックホルム条約:附属書A の改正 クロルピリホス・MCCP・LC-PFCA の廃絶の掲載が、多くの締約国で発効する。日本の国内の施行は11月22日で先に来る 確定
2026年12月16日 EU:POPs 規則の委任規則(C(2026) 6059・6262) LC-PFCA(非意図的な微量は C15〜C21 の酸と塩の合計 0.025 mg/kg)と MCCP(1,000 mg/kg)の適用日。9月に採択済みで、11月8日の時点で官報に載っていない 案
2026年12月16日 英国:POPs 改正規則(案) LC-PFCA・MCCP・クロルピリホスなどの施行予定日。MCCP の成形品の上限は 0.45 wt% で、EU の 0.1% と違う。議会の承認を待っている 案
2026年12月31日 フランス:PFAS 法(デクレ 2025-1376) 2026年1月1日より前に作った PFAS 入りの衣類・靴などの、上市と輸出の猶予が終わる 確定

2027年の期限

期限日 地域と法令 対象と、その日に起きること 確度
2027年1月1日 米国カリフォルニア州:AB 1817 織物製品の総有機フッ素の線が、100 ppm から 50 ppm に下がる 確定
2027年1月1日 米国ワシントン州(WAC 173-337)、ニューメキシコ州(HB 212) PFAS を意図的に加えた衣料・洗浄剤(ワシントン州)と、調理器具・食品包装など(ニューメキシコ州)の販売の制限が始まる 確定
2027年1月31日 米国:TSCA 第8条(a)(7) 2011年以降に PFAS を製造・輸入した者(成形品の輸入者を含む)の報告期間が始まる。期間は6か月で、成形品だけを輸入する小規模事業者は12か月。改正の最終規則が先に出れば、その発効の60日後に早まる 確定
2027年2月(予定) 日本:労働安全衛生法施行令・規則の改正(35物質) 政令・省令の公布の予定月。11月18日に締め切る意見募集の結果はまだ出ていない 案
2027年2月8日 EU:REACH の SVHC ビスフェノールF の SVHC 提案書を、スウェーデンが ECHA へ出す予定日。ECHA は、次の候補リストの更新を2027年6月ごろと見込んでいる 案
2027年2月24日 EU:RoHS 指令 附属書III の水銀入りランプの項目 条文の期限。4(b) は更新できず、ほかの項目は更新申請があり、欧州委員会の決定まで有効 確定
2027年3月30日ごろ EU:POPs 規則 第4条(2) クロルピリホス。2026年9月30日より前に作った成形品の、6か月の猶予が終わる(日付は条文の6か月から数えた目安) 確定
2027年4月1日 日本:労働安全衛生法施行令(令和7年政令第35号) ラベル表示・SDS 交付の対象に物質が加わる。施行の日にすでにある物のラベル表示は、2028年3月31日まで適用しない 確定
2027年4月23日 EU:REACH 附属書XVII 第82項 PFAS を含む消火泡(合計 1 mg/L 以上)。耐アルコール型の携帯消火器向けの上市と、訓練・試験用などの使用の猶予が終わる 確定
2027年5月11日 EU:REACH 附属書XVII 第83項 2,4-ジニトロトルエンを 0.1 wt% 以上含む成形品の上市・使用が禁止になる(条文は「2027年5月10日の後」) 確定
2027年6月11日 EU:RoHS 指令 附属書III 6(b)・6(b)-II(カテゴリ1〜7・10) アルミ合金の鉛(0.4%)と、アルミ切削用の鉛の除外が終わる 確定
2027年6月16日ごろ EU:POPs 規則 第4条(2) LC-PFCA・MCCP。12月16日より前に作った成形品の、6か月の猶予が終わる見込み(12月16日の適用が前提) 案
2027年6月30日 EU:RoHS 指令 附属書III 6(a)-I・6(a)-II・6(c)・7(a)・7(c)-I ほか 条文の期限。更新申請が出ている項目は、欧州委員会の決定まで有効 確定
2027年8月4日 EU:POPs 規則 UV-328 の欄 UV-328(紫外線吸収剤)の非意図的な微量の上限が、100 mg/kg から 10 mg/kg に下がる 確定
2027年8月18日 EU:電池規則 第48条 電池を上市する事業者の、原料の調達のデューデリジェンスの義務が始まる(2年延期されたあとの日付) 確定
2027年10月10日 EU:REACH 附属書XVII 第79項 PFHxA(25 ppb、関連物質の合計 1,000 ppb)の制限が、一般消費者向けの繊維・皮革・毛皮のうち、2026年10月10日の対象に入らなかった物にも広がる 確定
2027年12月31日 EU:RoHS 指令 附属書III 7(a)-I〜VII・7(c)-II・7(c)-V・7(c)-VI・39(b) 条文の期限。更新申請の締切(2026年6月30日)は過ぎている 確定

2028年から2030年の期限

期限日 地域と法令 対象と、その日に起きること 確度
2028年1月1日 米国カリフォルニア州(AB 1817)、コロラド州(SB24-081) 極限の湿潤条件向けの屋外衣類にも禁止が及ぶ(カリフォルニア州)。PFAS を意図的に加えた織物製品などの販売が禁止になる(コロラド州) 確定
2028年4月1日 日本:労働安全衛生法施行令(令和8年政令第90号) ラベル表示・SDS 交付の対象に物質が加わる。すでにある物のラベル表示は、2029年3月31日まで適用しない 確定
2028年4月16日 EU:POPs 規則 デクロランプラスの欄 デクロランプラス(難燃剤)の非意図的な微量の上限が、1,000 mg/kg から 1 mg/kg に下がる 確定
2028年5月1日 EU:CLP 規則(委任規則 (EU) 2023/707) 内分泌かく乱・PBT などの新しい危険有害性クラスの分類・表示が、以前から市場にある混合物にも始まる 確定
2028年9月1日 EU:自動車循環規則 (EU) 2026/1738 規則が適用され、使用済み自動車(ELV)指令は廃止になる 確定
2028年12月16日 EU:POPs 規則の委任規則(MCCP) ケーブル再生材の 2 wt% など、用途ごとの特例が終わる 案
2029年4月1日(予定) 日本:労働安全衛生法施行令の改正案 ラベル表示・SDS 交付の対象に35物質が加わる 案
2029年8月4日 EU:POPs 規則 UV-328 の欄 UV-328 の非意図的な微量の上限が、10 mg/kg から 1 mg/kg に下がる 確定
2030年1月1日 米国メイン州:38 M.R.S. § 1614 PFAS を意図的に加えたすべての製品の販売が禁止になる(やむを得ない用途と決めた物を除く) 確定
2030年4月1日(予定) 日本:労働安全衛生規則(SDS の通知事項) 成分の固有番号など、4項目を通知事項に加える。省令は11月8日の時点で公布されていない 案
2030年8月1日 EU:玩具安全規則 (EU) 2025/2509 玩具への PFAS の意図的な使用と、ビスフェノール類の含有が禁止になる。玩具向けの樹脂・塗料・インキの仕入先にも確認が来る 確定
2030年10月23日 EU:REACH 附属書XVII 第82項 PFAS を含む消火泡の上市・使用が、一般の用途で禁止になる。用途別の猶予は最長で2035年10月23日 確定

日付が決まっていない物

  • EU の POPs 規則の LC-PFCA と MCCP。官報に載った20日後に発効します。載る日が分かると、12月16日の適用と、成形品の猶予の終わりが固まります。
  • EU の PFAS の包括的な制限案。SEAC の最終意見(2026年末の見込み)のあと、欧州委員会が附属書XVII の改正案を作ります。適用日はまだありません。
  • 日本の SDS の通知事項の省令と、消火器・泡消火薬剤の省令。公布されると、施行日が固まります。
  • RoHS の更新申請が出ている除外。6(c)、7(a)、7(c)-I などは、欧州委員会の決定で新しい期限か終わりの日が決まります。却下なら、決定の12〜18か月後に終わります(指令 第5条(6))。
  • 中国の新化学物質の登記。部令第40号は2026年10月24日に施行されました。条文に経過措置がなく、備案済みの物質の扱いは条文からは決まりません。

聞かれたときの返し方

私は、顧客から期限を聞かれたら、まず社内の一覧を見ます。一覧が最新版ならその内容だけで返し、最新版でなく調べ直しが要るときは、その都度調べて返します。仕入先の回答が要るときは、仕入先がいつごろ回答できるかを顧客に伝えて、それまで待ってもらう形です。待ってもらえないときは、過去の情報をもとに回答してよいかを打診し、了承をもらえたらその情報で回答します。

返す文には、日付に加えて次の4つを入れます。

  1. 仕向地と製品の区分。同じ物質でも、日本は「含むか、含まないか」、EU は濃度で線を引きます。先に聞き返します。
  2. 確定か案か。官報待ちや意見募集中の物は「案」と書き、条文や案の日付を添えます。
  3. 成形品の猶予。EU の POPs 規則は、適用日より前に作った成形品に6か月の猶予があります(第4条(2))。
  4. 仕入先に照会する物。部材ごとに、その物質を使っているかと、規制の線を超えるかを聞きます。

物質ごとの答え方は、POPs の3物質、PFAS、RoHS、SVHC の各ページに書いています。毎月の改正は、月の初めに出す「今月の改正」にまとめています。

依頼ごとの回答を追う台帳は、ものづくりポータルの含有化学物質の回答管理表(Excel)に置いています。客先が求めた規制と閾値を、依頼ごとに「求められた中身」の欄へ書けます。

次に読む

11月22日の化審法と、EU の POPs 規則で、同じ3物質の聞かれ方がどう違うかを並べた記事です。

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12月11日に終わる 6(a) を含め、RoHS の鉛の除外を項目ごとに見る記事です。

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RoHS適用除外の期限:鉛の6(a)は12月11日に終わる(2026年10月時点) RoHS適用除外の期限を、鉛の6系・7(a)系・7(c)系の項目別に整理しました。6(a)は2026年12月11日に終わり、更新できない状態です。不使用証明の出し方も載せています(2026年10月時点)。

出典

免責:このページは、各国の法令の原文、官報、行政機関と ECHA の公開資料で、2026年11月8日に日付を確かめてまとめたものです。条文と資料の日本語は筆者の訳です。公布や改正、官報への掲載があれば書き直します。法的な助言ではありません。最終判断は、各社の法務と客先との取り決めで行ってください。

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この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

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