中国の新化学物質「備案」廃止と新しい登記弁法(部令第40号・10月施行):日本の輸出側がやること(2026年10月時点)

制度の常設ページです。改正の公布や運用の変更があれば書き直します(確認日:2026年10月30日)。

場面
中国向けに化学品や混合物を出している。中国の顧客から、名録の確認や組成の開示を求められた
対象
中国の新化学物質環境管理登記(生態環境部令第40号「新化学物質環境管理登記弁法」。2026年10月24日付、公布の日から施行)
使うもの
登記弁法(部令第40号)の原文、廃止された部令第12号、生態環境部の通知(2026年8月4日掲載)、登記指南、中国現有化学物質名録(IECSC)
要点
登記弁法は10月24日付の部令で、公布の日から施行。備案は形式登記に替わり、申請人は中国国内の生産者・輸入者に限られた。備案済みの物質の扱いは条文になく、今後の通知で確かめる

中国の新化学物質の登記弁法が、生態環境部令第40号(2026年10月24日付)として公布され、公布の日から施行された。8月15日で止まっていた「備案」は、新しい「形式登記」に替わった。年1トン未満の物質と一部のポリマーも、生産・輸入の前に形式登記証を取る。旧部令第12号は同日に廃止された(部令第40号第48条)。8月15日の備案停止は、同じ日に施行された生態環境法典に備案の区分がないことに合わせた措置だった。第40号も、第1条で法典を根拠に挙げている。

日本から中国へ化学品や混合物を出している会社に関わる変更は3つある。申請人は中国国内の生産者・輸入者に限られ、国外の企業が代理人を立てて申請する規定はなくなった(第11条)。備案は資料を出せばすぐ輸入できたが、形式登記は審査を経て登記証を取ってから輸入する(第4条・第28条)。意見募集稿にあった「備案済みの物質は2026年12月31日までに登記証を取る」という条文は、公布された本文にない。備案受理番号の扱いは、10月30日時点で未確認だ。

目次

10月30日時点の状態

項目 いまの状態 根拠
登記弁法 部令第40号(10月24日付)として公布され、公布の日から施行。部令第12号は施行と同時に廃止された 部令第40号の冒頭と第48条
登記の区分 常規登記(年10トン以上)、簡易登記(1トン以上10トン未満)、形式登記(1トン未満と一部のポリマー)の3つ。備案の区分はない 第4条・第10条
申請人 中国国内で登記し、独立して法的責任を負える生産者・輸入者。国外の企業が代理人を立てて申請する規定はない 第11条
備案済みの物質 経過措置の条文はない。意見募集稿の「2026年12月31日までに登記証を取る」(第45条)は、公布された本文に入らなかった。備案受理番号の扱いは、10月30日時点で未確認 第40号の全文と意見募集稿の照合
8月4日の通知 8月15日から備案を止め、備案の対象だった物質は、登記の申請表と証明資料を出して簡易登記の手続きと期限に準じて審査するとした。新しい規定が出たらそれに従い、通知は自動で失効すると定めている 生態環境部の通知(環辦固体函〔2026〕301号・7月31日付)の第1項・第2項
8月15日〜10月23日の申請人 登録支援会社の報告では、国外企業の新規申請も、持っている登記証の変更申請も受け付けていなかった。通知にも部令第12号にも、この定めはなかった 登録支援会社CIRSの報告(8月7日)とREACH24Hの報告(8月28日)。一次の文書では確かめられていない
申請の中身 登録支援会社の報告では、8月15日からの運用で、1回の申請で1物質。申請用途の記入が加わった。化学名などを伏せたいときは、その必要性の説明資料を一緒に出す(第40号の第13条も同じ) CIRSの報告(8月18日)
登記指南 いまの指南は、2020年に部令第12号に合わせて出たもの。第40号に合わせた指南は、10月30日時点で新化学物質のページに出ていない。指南などの配套文件は生態環境部が定める 第6条/新化学物質のページ
WTOへの通報 中国は改正案をWTOに通報していた(G/TBT/N/CHN/1351/Rev.1・2026年7月1日付)。採択を知らせる追加の通報は、10月30日時点で未確認 WTO通報の写し(台湾の標準検験局が掲載)

意見募集稿は第47条で、施行日を2026年8月15日としていた。第40号は、10月15日の2026年第4次部務会議で審議を通り、10月24日付の部長の署名で公布された(部務会議の記事・第40号の冒頭)。施行日は公布の日で、経過の期間は置かれていない(第48条)。この記事は、部令の日付(10月24日)を公布の日とみて、10月23日までと10月24日からに分けて書く。生態環境部のページの生成日は10月26日で、公布の日そのものは日付で示されていない。8月15日から10月23日までは、通知に沿って、備案の対象だった物質も簡易登記に準じた審査を受けていた。

対象かどうかの判断

判断は次の順で進める。

  1. 物品に当たるかを見る。物品に含まれる物質が対象になるのは、使うときに中の物質を意図して出す設計のものに限る(部令第40号第2条)。シートや部材として出すなら、多くはここで対象外になる。この定めは部令第12号の第2条と同じだ。物品の条件は、後ろの「義務・罰則と、登記が要らない物」にある。
  2. 成分が名録に載っているかを確かめる。載っていない物質が新化学物質になる(第3条)。公開版の名録でCAS番号が見つからなくても、名称を類名にして載せた物質があるので、正式な照会で確かめる。調べ方は、後ろの「名録の調べ方と組成の伏せ方」にある。
  3. 名録に載っていても、新用途環境管理が付いた物質を許可用途の外で使うときは、新化学物質として扱う(第3条)。
  4. 中国での年間の輸入量を物質ごとに押さえる。区分は物質ごとの年間数量で決まる。混合物は、新規成分の純品量で数える(後ろの「義務・罰則と、登記が要らない物」)。

名録の調べ方と組成の伏せ方

名録(中国現有化学物質名録)は、生態環境部と固管中心(生態環境部の固体廃物・化学品管理技術中心)のサイトで調べられる。簡易登記と形式登記の物質は名録に載らない(部令第40号第45条)。部令第12号のもとで備案した物質も、同令の第44条により載っていない。他社が簡易登記で入れた物質も、名録の上では新化学物質のままだ(第3条)。

公式の調べ方は4通り

名録は、2013年版に増補と登記物質の収載を重ねたものだ。調べ方は、固管中心のFAQ(系列十一・2026年1月6日)で4通りに分かれる。

方法 入口
登記システムで自分で調べる 生態環境部の政務サービスで「新化学物质类」→「13002新化学物质环境管理登记证核发审批事项」→「事项申报」→「名录查询」
生態環境部のサイトで自分で調べる 名録のページで増補の公告を読むか、「名录查询」のボタンで検索する
固管中心のサイトで自分で調べる 2013年版と、増補・登記収載の公告を1つにまとめた検索ページ
固管中心に委託して調べる 化学物質技術判別のページの手順で委託する。報告書の提出と、手数料の支払いがある

名録は更新が続く。直近は2026年8月4日の公告2026年第40号で、4物質の増補と、登記済みの482物質の収載があった。部令第40号とは別の文書だ。照会した日を残しておく。

同じ物質かどうかと、類名

同じ物質かどうかは、CAS番号・化学名称・分子式などの標識情報を突き合わせて判定する。すべて一致すれば、基本的に同じ物質と見てよい(FAQ 系列十一の問3)。

名録には、名称を類名で載せた物質がある。標識情報の保護を受けた物質の名称を置き換えたもので、「新化学物質申報類名編制導則」(HJ/T 420-2008)に沿って作る。類名の物質については、固管中心の窓口(ncn@meescc.cn)でさらに確かめられる。

名録に類名で載っている物質に当たるかは、生態環境部に正式に確認する。登記の申請人が、物質の中英文名称、CAS番号、分子式、構造式と、活動の計画(研究・生産・加工使用の方法か、輸入の計画)を出す(登記指南 三(一))。

組成を伏せたまま登記を支える方法

申請人が物質の情報を持たないときは、情報を持つ第三者が資料を一括して提出できる。申請人は、第三者の名称と委託する資料の一覧を書いた委託声明を出す。第三者の資料も含めて、真実性・完全性・正確性・合法性の責任は申請人が負う(登記指南 三(二))。

登録支援会社のREACH24Hの報告では、備案から登記への切り替え後も、第三者による提出の経路は、すべての登記の種類に残っている。同社は、この経路なら機密の物質情報を中国の申請人に直接渡さずに済む、と報告している。

名称などの標識情報を伏せたいときは、申請のときに申し出て、必要性の説明資料を出す。保護は、初回の登記の日から最長5年だ(部令第40号第13条)。化学名の保護を求めるときは、類名などの代わりの情報を出す(登記指南 四(九))。

第三者が資料を出すときは、必要性の説明資料に、その第三者の法定代表者か授権署名者の署名と公印が要る(登記指南 四(九))。公共の利益に重大な影響のある情報は、保護されないことがある(部令第13条)。

公示で外に出る情報

常規登記と簡易登記では、決定の前に、物質名または類名、申請人、活動類型、新用途環境管理の要求が公示される。公示の期間は3営業日以上だ(部令第27条)。形式登記には公示の定めがない。部令第12号は公示に代理人の名前も含めていたが、第40号の第27条にその語はない。決定後20営業日以内には、登記証号を加えた同じ項目が公開される(部令第31条・登記指南 三(三))。

常規登記の物質は、初回の登記から5年で名録に収載される(部令第45条)。保護の期限が切れた標識情報は、そのとき公開される。申請すれば、公開を最長5年延ばせる場合がある(登記指南 七(八))。

出典:部令第40号(第3条・第13条・第27条・第31条・第45条)、部令第12号(第24条・第44条)、登記指南(三(一)・三(二)・三(三)・四(九)・七(八))、固管中心 FAQ 系列十一、公告2026年第40号、化学物質技術判別。第三者提出の経路が残るという点は、登録支援会社のREACH24Hの報告による(2026年10月30日確認)

区分と申請人の新旧

項目 部令第12号(8月14日まで) 通知の期間(8月15日〜10月23日) 部令第40号(10月24日から)
区分 常規登記は年10トン以上、簡易登記は1〜10トン、備案は1トン未満と一部のポリマー(第10条) 備案の対象は登記の申請に切り替え 常規登記と簡易登記の線は同じ。備案に替わり、1トン未満と一部のポリマーは形式登記(第10条)
申請人 中国国内の生産者・輸入者。国外の輸出者も国内の代理人を立てれば申請できた(第11条) 登録支援会社の報告では、国外企業の申請は受け付けていない(通知には書かれていない) 中国国内で登記した生産者・輸入者。代理人の定めはない(第11条)
輸入を始められる時期 備案は資料を出した時点から(第37条) 審査の結果を待つ 登記証を取ってから(第4条)
審査の期限 簡易登記は技術審査30日以内、決定は受理から20営業日以内で10営業日の延長あり(第25条) 簡易登記に準じる 形式登記と簡易登記は技術審査30日以内、常規登記は60日以内。決定の期限は同じ(第28条)
既存の備案・登記証 なし 通知は触れていない 経過措置の条文はない。備案受理番号と、部令第12号で取った登記証の扱いは、10月30日時点で未確認

意見募集稿は、年1トン以上を常規登記、1トン未満を簡易登記にする案だった(意見募集稿第10条)。公布された第40号は、10トンと1トンの線を部令第12号のまま残し、備案の枠を形式登記に置き換えた。いま簡易登記で入れている物質の区分は変わらない。数量を増やして年10トンを超える計画があれば、常規登記の試験の要否を中国側と詰める。

形式登記で出すのは、申請表と、ポリマーならその条件に当たる証明資料で、持っている危害の情報も添える(第17条)。技術審査は、名称と標識、ポリマーの条件、営業秘密の保護の必要性を見る(第22条)。第27条の公示はなく、第45条の名録の収載もない。資料と記録は3年以上残す(第40条)。

適用除外は部令第12号とほぼ同じだ。医薬品・動物用医薬品・化粧品・食品・食品添加物・飼料・飼料添加物・肥料と、放射性物質は除かれる。ただし、ほかの工業用途に変えるときと、それらの原料・中間体は対象になる(第40号第2条)。農薬に使う新化学物質は農薬の法令で扱い、ほかの工業用途と農薬の原料・中間体は第40号の対象だ(同条)。対象の活動は生産と輸入になり、部令第12号の第2条にあった研究と加工使用の語は外れた。意見募集稿が除外に加えた科学研究と検査・計量・監測の用途(意見募集稿第42条)は、第40号にない。原文は改正の意見募集稿(PDF)と部令第40号で読める。

登記の書類・日数と申請人

簡易登記は、申請表と、持久性・生物蓄積性・水生毒性の試験資料が中心になる。常規登記は、そこに健康毒性の試験資料とリスク評価の報告書が加わる。新しい形式登記の提出物に、試験報告は挙がっていない(第17条)。

区分ごとに出すもの

出すもの 部令第40号 部令第12号(廃止)
形式登記 申請表。単量体・反応体が2%以下のポリマーか低懸念ポリマーなら、その証明資料。持っている危害の情報(第17条) 形式登記はなく、備案だった。備案表と、条件に当たる証明資料、持っている危害の情報(第36条)
簡易登記 申請表。物理化学性状と、持久性・生物蓄積性・水生環境毒性などの試験報告。リスク管理措置の承諾書(法定代表者か授権者の署名と公印)(第16条) 同じ(第16条)
常規登記 申請表。物理化学性状・健康毒性・生態毒性の試験報告。環境リスク評価報告書。承諾書。高危害の物質は、社会経済効益の分析資料も(第15条) 同じ(第15条)
試験の条件 生態毒性の報告に、中国の供試生物で取ったデータを含める(第15条・第16条)。国外の試験機関は、国際的なGLPを満たす(第14条) 同じ。国内の試験機関には、検査検測機関の資質認定も求めていた(第14条)。試料は純物質で、不純物は合計20%以下、単一10%以下(登記指南 四(三))
添付書類 条文に定めはない。第40号に合わせた指南で確かめる 営業許可証など、代理契約(代理人がいる場合)、授権書、試験機関の資料、承諾書、既知の危害情報(登記指南 四(二))

中国の供試生物は、中国で育てた稀有鮈鲫や、中国の活性汚泥などをいう(登記指南 四(三))。指南の表3の注8は、中国の供試生物で行う試験を定める。対象は、魚類の急性毒性と慢性毒性、活性汚泥の呼吸阻害、魚類の蓄積性、生分解性の試験だ。

審査と補正の日数

段階 部令第40号 部令第12号(廃止)
形式審査 5営業日以内に、受理・補正・不受理を通知する。補正は一度にまとめて告げる(第19条) 同じ(第18条)
技術審査 形式登記と簡易登記は30日以内、常規登記は60日以内(第28条) 簡易登記は30日以内、常規登記は60日以内。備案に審査はなかった(第25条・第37条)
追加資料の提出 求められた追加資料は6か月以内に出す。その期間は技術審査の期限に入らない(第26条・第28条) 同じ(第23条・第25条)
公示 常規登記と簡易登記だけ。決定の前に3営業日以上(第27条) 決定の前に、3営業日以上(第24条)
決定 受理から20営業日以内。延長は10営業日。技術審査の時間は、この期限に入らない(第28条) 同じ(第25条)
公開 決定後20営業日以内(第31条) 同じ(第28条)

日本の会社は登記証を持てるか

第40号の第11条は、申請人を中国国内で登記し、独立して法的責任を負える生産者・輸入者に限る。国外の企業が代理人を立てて申請する規定はない。日本の会社が新しく自社名義で登記を申請する道は、条文の上ではなくなった。

部令第12号の第11条は、国外の生産・貿易企業も、中国国内の法人を代理人に指定すれば申請人になれると定めていた。固管中心のFAQ(系列五・2022年12月23日)でも、国外の輸出者は登記システムで申請できた。8月24日に公表された2026年第5批の常規登記証の表にも、外国の会社と中国の代理人を並べた行がある。

8月15日から10月23日までの運用は、登録支援会社の報告による。国外企業の新規申請と登記証の変更申請は受け付けられていなかった(CIRS・8月7日)。システムの申請人欄は中国国内の法人だけになり、「登記申請」の入口では代理人欄が消えた(REACH24H・8月28日)。

第40号には経過措置の条文がない。国外の会社が代理人を通して取った登記証が施行後も使えるか、その変更をどう出すかは書かれていない。10月30日時点で未確認で、今後の通知で確かめる。意見募集稿は、取得済みの登記証を有効とし、記載が変わるときは取り直すとしていた(意見募集稿第44条)。

代理人と共同申請

第40号には、代理人の定めがない。次の2段落は、部令第12号のもとで代理人を立てた登記の決まりで、2020年の登記指南による。こうして取った登記証がこれからどう扱われるかは、10月30日時点で未確認だ。

代理人は、中国国内で登記した、独立して責任を負える企業・事業単位でなければならなかった。従業員に、生態環境部や技術機関の在職者、専門家委員会のメンバーがいてはならない(登記指南 一(四))。代理契約には、共同で義務と責任を負うこと、代理人を替えるときの責任、契約の有効期間を書く。

代理人を替えるときは、登記証持有人と新しい代理人が共同で変更を申請する。前の代理人との解除の協議書と、新しい代理人との協議書を出す(登記指南 六(三))。登記証は譲渡できない(登記指南 七(一))。

輸入者が複数いて、同じ新化学物質を同時に申請するときは、資料を共同で出す共同登記(联合登记)ができる。登記量は各申請人の分の合計になり、区分もその合計で決まる。登記証は申請人ごとに交付される(部令第40号第18条・登記指南 二(二)・四(六))。

出典:部令第40号(第11条・第14条〜第19条・第22条・第26条〜第28条・第31条)、部令第12号(第11条・第14条〜第16条・第18条・第23条〜第25条・第28条・第36条・第37条)、意見募集稿(第10条・第44条)、登記指南(一(四)・二(二)・三(三)・四(二)〜四(四)・四(六)・六(三)・七(一))、固管中心 FAQ 系列五、2026年第5批の常規登記証の表。通知の期間の申請人の扱いは、登録支援会社のCIRSの報告とREACH24Hの報告による(2026年10月30日確認)

備案で出していた物質の確かめ方

備案した物質は、手元の回執の番号を、生態環境部が公表した備案の一覧で探して確かめる。

備案とは何だったか

備案は、備案表と条件に当たる証明資料を出せば回執が出て、その時点から活動を始められた(部令第12号第36条・第37条)。提出後に、無作為の符合性抽査があった。備案の条件に合わない物質は備案が取り消され、簡易登記か常規登記を取り直すことになっていた(登記指南 三(四))。第40号の本文に、備案の語はない。

公表された一覧

備案の状況は、生態環境部が定期的に公表していた(部令第12号第37条)。次の2点が出ている。

表の列は、申請人/代理人、備案回執号、備案時間、備案した物質の数だ。物質名は載らない。「申請人/代理人」欄には、外国の会社名と中国の代理人名を並べた行があり、日本の会社名の行もある。

自社名義の備案は、回執の番号を「备案回执号」の列で探し、備案の日付と物質数が手元の控えと合うかを見る。7月24日の表の対象は、2025年7月から2026年6月の備案だ。それ以前の分にも別の表がある(例:2025年1月から6月の分)。7月1日から8月14日の分は一覧で確かめられないので、回執の控えをそのまま証拠に残す。取り消された備案は、申請人と備案番号が公表される(登記指南 三(四))。

8月15日以降と第40号

備案は8月15日で停止した。10月23日までは、備案の条件に当たる物質も、登記の申請表と証明資料を出して簡易登記に準じた審査を受けた(通知)。この期間の入口は、政務サービスの「13002新化学物质环境管理登记证核发审批事项」の「事项申报」にある「登记申请」だった(固管中心のFAQ 系列十二)。10月24日からは、これらの物質は第40号の形式登記の対象になる(第10条)。入口が変わったかは、10月30日時点で未確認だ。

すでに備案した物質について、第40号は何も定めていない。意見募集稿の第45条は、備案した者に2026年12月31日までの登記証の取得を求めていた。公布された本文に、この条文はない。備案受理番号(回執の番号)の扱いは、今後の通知で確かめる(10月30日時点で未確認)。

備案済みの物質は、回執の番号、物質、輸入者を1枚にまとめる。通知が出たら、輸入者と登記を取る時期をすぐ決められるようにしておく。申請人は、中国国内の生産者・輸入者になる(第11条)。

出典:部令第12号(第36条・第37条)、部令第40号(第10条・第11条)、登記指南(三(四))、生態環境部の通知、意見募集稿(第45条)、固管中心 FAQ 系列十二、生態環境部の備案状況(7月24日掲載分・2025年1月から6月の分。9月8日掲載分は開けない)(2026年10月30日確認)

義務・罰則と、登記が要らない物

登記を取ったあとは、下流への情報伝達と活動の記録が続く。登記証のない物質の生産・輸入と、その物質で製品を作ることには罰金がある。登記が要らない物は、指南が類別で定めている。

登記のあとに伝えること、残すこと

新化学物質の生産者と輸入者は、下流の使用者に次の4つを伝える(部令第40号第39条)。

  • 登記証号
  • 申請用途
  • 危害特性とリスク管理措置
  • 環境管理要求

加工使用者は、これらを供給者に求めてよい(同条)。部令第12号のときの指南では、伝達は直接の下流に行い、最終の加工使用者まで順に伝えるよう告げる。電子でも書面でもよく、内容と証拠は保存する(登記指南 七(二))。

部令第12号の第38条との違いは2つある。伝える義務を負うのが生産者と輸入者になり、加工使用者が外れた。伝える番号は登記証号だけになり、備案回執号の語が消えた。意見募集稿の第31条にあった、販売・委託などの契約で明記して伝える形は、第40号に入っていない。

項目 部令第40号 部令第12号(廃止)
活動の記録 登記証を取った生産者・輸入者が、活動の時間・数量・用途と、措置の実施を記録する(第40条) 研究者・生産者・輸入者・加工使用者が記録する(第39条)
保存の期間 常規・簡易の資料と記録は10年以上、形式登記の資料と記録は3年以上(第40条) 常規・簡易は10年以上、備案は3年以上(第39条)。代理人がいるときは、国内の代理人が保存を担う(登記指南 七(六))
最初の活動の報告 最初の生産、または最初の輸入と加工使用者への移転から60日以内。条文の上では、形式登記証の持有人も対象に入る(第4条・第42条) 登記証の持有人が60日以内(第41条)
年度の報告 登記証に定めがある常規登記だけ。登記の翌年から毎年4月30日まで(第42条) 同じ(第41条)

罰則

生態環境法典は、登記証がないか、登記証の要求に従わないまま、新化学物質を生産・輸入することを禁じる。登記証のない企業が生産・輸入した新化学物質で、製品を作ることも禁じる(法典第650条・第651条)。法典は2026年8月15日に施行された。

行為 生態環境法典 部令第12号(10月23日まで)
登記証なしで生産・輸入する。または、登記証のない企業の物質で製品を作る(法典第1207条) 是正命令と20万〜100万元の罰金。改めなければ、100万〜200万元の罰金と、生産の制限・停産整治。情状が重いと、人民政府の承認を得て停業・閉鎖 是正命令と1万〜3万元の罰金(第48条)
登記証の要求に従わずに生産・輸入する(法典第1206条) 上と同じ罰金と措置。情状が重いと、登記証書の取り消し(吊銷)も加わる 期限を切った是正命令と1万〜3万元の罰金(第49条)

第40号には罰則の章がなく、部令第12号の罰金の条文は同令の廃止でなくなった。登記に関わる罰則は、法典の第1206条・第1207条で確かめる。登記証のない企業が輸入した物質で製品を作る使用者も、第1207条の対象になる。部令第12号の第11条は、国外の申請人が代理人を立てた登記で、両者が共同で責任を負うと定めていた。第40号に、この定めはない。

登記が要らない物

類別 条件
物品 次の3つをすべて満たす物。製造のときに特定の形状や様式になる。使う機能と目的が、その形状や様式に全部か一部依存する。最終の使用で化学変化しないか、物品の商業価値の外の化学変化だけが起きる。例は、繊維、フィルム、皮革、糸(登記指南 一(一))
物品でも登記が要る物 通常の使用で、新化学物質を意図して放出する設計の物品。放出が機能に必須で、外形が容器にすぎない物(ペン、インクカートリッジ、消火器)と、使用中に放出する設計の物(香り付き消しゴム)(部令第40号第2条・登記指南 一(一))
不純物 製品の機能に寄与せず、原料や副反応・不完全な反応に由来して、望まないが最終製品に存在する物質。単一10%以下、合計20%以下(重量)
非意図の反応生成物 偶発的な接触や貯蔵、最終使用での設計外の反応でできる生成物。反応工程の廃水・廃ガス・固体廃棄物・副生物
既存物質の混合物 既存の化学物質を人為的に混ぜただけで、新化学物質ができない混合物
機能の発揮でできる物質 表面処理剤、キレート剤、凝集剤、接着促進剤が、期待どおりの機能を果たすときにできる物質
水和物 無水物が名録に載っているか登記済みなら、水和物も同じ扱い。逆も同じ
そのほか 合金(金属間化合物を除く)、ガラス・陶磁器原料・鋼・セメント、非分離中間体

第40号の本文で、この表の類別に当たる定めは、第2条の物品の定めだけだ。ほかの類別は、2020年の登記指南による。

混合物の数量の数え方

新化学物質は、純物質でも、混合物の成分でも登記の対象になる(登記指南 一(一))。申請登記量は、混合物や物品の量ではなく、中に含まれる新化学物質の純品の量で数える(登記指南 二(一))。

たとえば、新規の成分を10%含む混合物を年20トン輸入するなら、新規成分の純品量は年2トンになる。第40号の区分では簡易登記に当たる(第10条)。数値は説明のための例だ。

出典:部令第40号(第2条・第4条・第10条・第39条・第40条・第42条)、部令第12号(第11条・第38条・第39条・第41条・第48条・第49条)、意見募集稿(第31条)、登記指南(一(一)・二(一)・七(二)・七(六))、法典(第650条・第651条・第1206条・第1207条)(2026年10月30日確認)

日本の輸出側がやること

  1. 中国向けの品目ごとに、成分と名録の照合結果を1枚にまとめる。物質名、CAS番号、名録の掲載有無、照会日、年間の輸出量の5列で足りる。
  2. 名録にない成分があれば、中国側の輸入者(顧客・商社・現地法人)と、誰が登記するかを決める。第40号の第11条で申請人は中国国内の生産者・輸入者に限られたので、輸入者が申請人になる前提で進める。
  3. 組成を輸入者に見せたくないときは、物質の情報を持つ第三者に資料を一括して出してもらう方法がある(登記指南 三(二))。どこまで誰に出すかは、契約か覚書で決めておく。
  4. 輸入者が備案で入れていた物質を洗い出す。第40号に備案済みの物質の期限の定めはなく、扱いは今後の通知で確かめる。確かめ方は、前の「備案で出していた物質の確かめ方」にある。
  5. 納期の回答を見直す。簡易登記と形式登記の法定の期限を足すと、受理から決定まで最長約10週になる。内訳は、技術審査30日、決定20営業日、延長10営業日だ(第40号第28条)。補正にかかる日数は別だ。
  6. 社内の様式で「備案」の語を「登記」に書き換え、顧客へ渡す情報に登記証番号を加える。下流への伝達は、第40号の第39条にある生産者・輸入者の義務だ(内容は「義務・罰則と、登記が要らない物」)。

1 の5列に、申請者と登記証の番号の2列を足した Excel の確認表を、ものづくりポータルの中国の新規化学物質 登記の社内確認表で無料で配っている。

進行中の案件の扱い

案件の状況 扱い
備案の受領書(回執)がある 第40号に定めはない。意見募集稿の12月31日の期限は、公布された本文にない。備案受理番号の扱いは今後の通知で確かめる(10月30日時点で未確認)。回執の番号は、生態環境部が公表した備案の一覧で確かめられる(前の「備案で出していた物質の確かめ方」)
10月23日までに登記の申請が受理された 第40号に経過措置の条文はない。意見募集稿は部令第12号のまま審査を続けるとしていた(第45条第2項)が、公布された本文にこの定めはない。受理の通知と審査の進み具合を、申請人を通して確かめる
日本の会社名義の登記証がある 代理人を通して取った登記証の、施行後の扱いと変更の出し方は、10月30日時点で未確認。登録支援会社の報告では、8月15日から変更申請は受け付けられていなかった。中国国内の輸入者が自分で取る場合の段取りも並べて考えておく
まだ出していない 第40号の区分で登記の申請として出す。申請人は中国国内の生産者・輸入者になる(第11条)
処方が決まっていない 設計の段階で名録との照合を入れる

品証の窓口で受ける質問

中国向けで私が悩むのは、組成の開示を求められたときだ。名録の照合も、いまは客先に聞かれてから調べている。第40号で申請人が中国の生産者・輸入者に限られたので、輸入者が登記のために組成を求めてくる場面は増える見込みだ。聞かれてから調べる形のままでは、審査の期間を含めた納期に間に合わない。中国向けの品目だけでも名録の照合結果を先に作り、組成を第三者経由で出せるかを輸入者と話しておく。

公布のあとに見張るもの

第40号は公布されたが、申請の細かい手順は、生態環境部が定める指南などの配套文件で決まる(第6条)。次の3つが出ていないかを、生態環境部の新化学物質のページと固管中心のFAQで週に1回見る。

  • 第40号に合わせた新しい登記指南と申請表
  • 備案受理番号と、国外の会社が代理人を通して持つ登記証の扱いを決める通知
  • 登記システムの入口や申請人欄の変更

出ていたら原文で確かめ、社内の様式とこのページを書き直す。

品質と規制のその日のニュースは、ものづくりポータルの「今日の情報」に平日まとめている。ポータルを開く →

次に読む

客先から裏付けを求められたときの、不使用証明と分析成績書の使い分けをまとめたガイド。

あわせて読みたい
RoHS適用除外の期限:鉛の6(a)は12月11日に終わる(2026年10月時点) RoHS適用除外の期限を、鉛の6系・7(a)系・7(c)系の項目別に整理しました。6(a)は2026年12月11日に終わり、更新できない状態です。不使用証明の出し方も載せています(2026年10月時点)。

客先から含有化学物質の回答を求められたときの手順と、返す前に見る5つの所。

あわせて読みたい
chemSHERPA の回答手順:外部リストは1年でエラーになる(2026年10月時点) chemSHERPA の回答手順を、依頼の確認から控えの保管まで整理しました。外部リストをツールで使えるのは公開日から1年で、過ぎるとエラーになります。最新は V2R1.03.0(2026年10月14日時点)。

EU の REACH の高懸念物質(SVHC)について、客先から含有を聞かれたときの確かめ方と返し方。

あわせて読みたい
REACH SVHC の回答手順:全体0.04%でも部品で割れば0.2%(2026年9月時点) REACH SVHC の回答手順です。0.1%の分母は部品1つずつの重さで、製品全体で0.04%でも樹脂部品で割れば0.2%になります。候補リストは253件・最新の収載は2026年2月4日(2026年9月29日時点)。

免責: 本ページは、生態環境部と固管中心が公開している登記弁法(部令第40号)・廃止された部令第12号・通知・登記指南・改正の意見募集稿・生態環境法典の原文と、登録支援会社の公開情報に基づく2026年10月30日時点の整理で、法令の解釈を保証するものではありません。登記の要否と手続きは、案件ごとに中国側の輸入者や登録支援会社、専門家にご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

素材メーカーに勤めて10年以上。検査員から始めて、生産技術・品質保証・品質管理・新規事業開発を経験し、いまは品質保証の責任者です。クレーム対応と是正処置、ISO・客先・仕入先の監査、製品含有化学物質の調査回答(chemSHERPA・REACH など)、部下の教育まで担当しています。QC検定2級、ISO 9001 内部監査員。座右の銘は「ピンチはチャンス」。

目次