T13トレーサビリティ設計(ロット管理・識別の作り込み)
目的
不良流出時に「どこまで広がったか」を素早く特定できる状態を、工程設計の段階で作り込む。後追いで台帳を足すより、識別・記録の仕組みを最初に決める。
- ロットの定義(原料ロット・製造ロット・出荷ロットの単位と紐付け)を決める重点
- 識別(ラベル・巻取り番号・製造日時)の付与ルールと記録の残し方を標準化する重点
- 原料〜工程〜検査〜出荷のデータを一意キーでつなげる(kintone/SharePoint等の活用)
- 変化点(4M変更)とロットの対応が追える形にする(C1・T2)
- 選別・回収時に必要な粒度(幅方向・巻き単位まで追うか)を品証・営業と合意する(B9)
ロット追跡の通し演習
- 出荷先の1ロットを起点に、原料ロットまで実際に遡る演習を行い、参照する記録(出荷記録→製造記録→受入検査記録)を確認する重点
- 遡る途中でつながりが切れやすい4箇所(小分け・混合・再加工・返品再出荷)を実際に通してみて、記録が残っているかを確かめる重点
- 記録が見つからない・つながらない箇所が出た場合は、その工程の識別・記録ルールを見直す
- 演習は年1回程度、対象ロットを変えて実施し、結果(所要時間・切れた箇所)を記録に残す
ロット番号の採番設計例2種(架空・比較)
| 方式 | 例(架空) | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 日付連番型 | `20260804-003`(製造日+当日通し番号) | 発行日が一目で分かる/採番ルールが単純で運用しやすい | 工程条件や設備の違いが番号から読み取れず、絞り込みに検索システムが要る |
| 工程情報埋め込み型 | `L3-A-0804-03`(ライン3・材料区分A・日付・通し番号) | ラインや材料区分で一次絞り込みができ、初動の切り分けが速い | 桁数が増えて記入・照合の手間が増える/区分コードの改廃時に採番ルールの見直しが要る |
どちらの方式でも「原料ロット・製造ロット・出荷ロットをどの粒度まで紐付けるか」を先に決めておくことが前提(本文チェックリスト1項目目)。両方式を併用し、日付連番型を基本としつつ重要ラインのみ工程情報を付与する運用も選択肢になる。
現場判断でロットを分割・統合し追跡が切れたときの手当て
- まず、どこで分割・統合されたか(工程・日時・担当)を、現物と記録を突き合わせて特定する重点
- 特定できた地点を起点に、出荷済み分については分割・統合の影響が及ぶ範囲までを遡って洗い出す重点
- 現場が分割・統合をしたくなった理由(数量端数の調整・容器の都合・作業の切りの良さ等)を聞き取り、標準の運用で吸収できないかを検討する重点
- 分割・統合が判明した時点で、影響範囲の識別(ラベル・記録)を付け直し、元のロットとの対応が追える形にする重点
- 同様の分割・統合が起きやすい工程を洗い出し、あらかじめ許可される分割・統合のルール(記録の残し方を含む)を決めておく
- 追跡が切れた範囲は安全側に広げてB9の選別・回収要否の判断につなぐ
---
同じ読者向けの他トピック
T1新製品・量産立ち上げ(APQP/PPAP 的)T24M変更管理(人・機械・材料・方法)T3工程・検査基準の制定/改訂T4設備の導入・改善T5工程能力・初期流動・データ活用T6化学物質・環境法規の設計織り込みT7不具合の再発防止と設計・標準へのフィードバックT8治具・型・設備の維持管理T9設備保全とデータ活用(予知保全の入口)T10検査の自動化・AI外観検査導入の進め方T11工程FMEA(PFMEA)の作成と活用T12統計的工程管理(SPC)・管理図の導入と工程能力の見える化T14測定システム解析(MSA/Gage R&R)の実施と判断T15品質業務のノーコード自動化の進め方T16生成AIを品質業務で安全に使うT17試作品の品質評価依頼の出し方T18工程データの品証への共有ルールT19顧客規格から社内管理値への落とし込み方T20工程条件変更の社内実験計画の立て方T21検査基準書の作り方T22検査データの統計処理でやりがちな誤り5類型T23図面・仕様書に書ききれない「暗黙の要求」の拾い方T24過去トラブルの再発防止策が現場で守られているかの確認T25試験・測定を外注するときの相手の見方T26生成AIが出した不良原因の答えの扱い方T27試験・検査の結果が規格ぎりぎりのときの扱いT28根拠の記録が残っていない社内基準に出会ったときの扱いT29測定方法を変えるときの同等性の示し方T30顧客へ検査の生データ(測定の生値)を求められたときの扱いT31自作治具・簡易測定器を検査に使うときの確認T32抜取検査の水準を顧客と決め直すときの進め方T33測定値の丸め方・有効数字で社内と顧客の解釈が割れたときの揃え方T34社内の検査データを外部に出す前の匿名化・加工の線引き