D6KPI・品質目標の管理
目的
数字を「並べる」のではなく、数字で「打ち手を決める」。見ても何も変わらない指標は、指標ではない。
設計(立ち上げ時)
- 目標を設定(不良率・クレーム件数・是正リードタイム・コスト・納期・改善件数)
- 測定方法・定義を統一(分子・分母・集計期間・除外条件まで文章で固定する)重点
- 指標は「行動につながる粒度」まで割る(総不良率ではなく、工程別・原因別・製品別に割れているか)重点
- 各指標に「未達のときに誰が何をするか」を1行で書く。書けない指標は採用しない重点
運用(月次)
- 月次でモニタし傾向分析(パレート・推移)。単月の上下ではなく傾向で判断する
- 未達時のアクションを決める(放置しない)重点
- 「数字を見て変えた打ち手」を毎月1件以上、記録に残す(KPIが機能している唯一の証拠)重点
- 全員で共有(自分ごと化)。現場ボード(A8)と定義・数字を一致させる
- 期ごとに目標を見直す(達成し続けている指標・誰も見ていない指標は入れ替える)
よくあるつまずき
- 定義が曖昧なまま運用し、部署ごとに違う数字が出て議論が止まる
- 指標が多すぎて全部が「見るだけ」になる(絞る勇気が要る)
- ダッシュボードを作った時点で満足し、打ち手が出ないまま形骸化する(TS28)
KPIシート記入項目例(テンプレ)
- 指標名/定義(分子・分母)/集計期間/目標値/実績値/差異/主要因/対応アクション/担当/期限
記入例(良い例)
不良率(工程A):目標0.5%、実績0.9%。要因:新人作業者の検査見落とし2件。アクション:作業標準の再教育を今週中に実施、来月まで重点確認。担当:班長
NG例
不良率:目標未達。原因不明。来月も様子を見る。(→ 要因・アクション・担当・期限が無く、次に何をするか誰も分からない)
未達時の判断フロー(テキスト)
- 傾向か単月かを確認する(3か月の推移を見る)。単月のブレなら継続監視にとどめる
- 傾向として悪化しているなら、要因を工程別・原因別に分解する
- 対応アクションと担当・期限を決め、翌月のKPIレビューで効果を確認する
- 2か月連続未達かつ改善の効果が出ない場合は、指標の定義・目標値そのものを見直す
達成しているのに現場の実感と合わないときの見直し
- まず疑うのは異常ではなく定義。母数(分母)・除外条件・集計単位の3か所を順に確認する重点
- 母数のズレ:集計対象に含めるべき工程・品番が漏れていないか(新ラインの追加漏れ、季節品の除外忘れ等)重点
- 除外条件のズレ:「特採分は除外」「試作は除外」等の除外ルールが、現場の感覚とずれていないか
- 集計単位のズレ:日次・週次・月次のどの単位で見るかで傾向の出方が変わる。現場の実感は日々の肌感覚に近いため、集計単位が粗すぎると乖離しやすい重点
- 定義を確認しても乖離が説明できない場合は、指標を足すか・差し替えるかを判断する。実感と数字のずれそのものを可視化する指標(例:ヒヤリハット件数、手直し工数)を足す選択肢を検討する重点
- 指標を変える場合は、変えた理由と旧指標の扱い(廃止か並行維持か)を、D10のCOQ集計・A3の月次報告への影響まで含めて記録に残す重点
- 現場の「実感と合わない」という声自体を、指標の設計を見直す入口として扱う(声を数字より軽く扱わない)