ものづくりポータル
ものづくりハンドブック
技術向け/T14 測定システム解析(MSA/Gage R&R)の実施と判断
🛠️ 技術向け連携先:生産技術・開発

T14測定システム解析(MSA/Gage R&R)の実施と判断

目的/考え方

測定データを信じてよいかを事前に確かめる。人・測定器のばらつきが大きいと、良品を不良と誤判定したり不良を見逃したりするため、重要特性の測定は解析で検証する。

MSA(Gage R&R)の実施と判定の流れ:条件を決める→%GRRで評価→分解能を確認し、判定目安とNG時の原因別切り分けを示す
MSA(Gage R&R)の実施と判定の流れ:条件を決める→%GRRで評価→分解能を確認し、判定目安とNG時の原因別切り分けを示す
  • 重要特性・合否判定に使う測定について、測定器・作業者・繰り返し条件を決める重点
  • Gage R&R(%GRR)等で測定ばらつきが許容内かを評価する(一般に%GRRが小さいほど良い)重点
  • 分解能(最小目盛)が公差に対して十分か(目安:公差の1/10)を確認する
  • NGなら測定手順の標準化・治具・校正・教育で改善し、再評価する
  • 結果はコントロールプラン・検査基準に反映し、記録を残す
指標目安判断の考え方
%GRR 10%未満良好その測定システムはそのまま使用してよい
%GRR 10〜30%条件付き可用途の重要度・コストに応じて許容するか改善するかを判断
%GRR 30%超不可測定システムの改善が必要(そのまま合否判定に使わない)★
ndc(識別可能区分数)5以上が目安5未満は工程のばらつきを識別できていない可能性

NG時の切り分け(ばらつきの発生源別)

  • 装置間・繰り返し性(同一人が同一品を繰り返し測って差が大きい)→ 測定器の精度・分解能・固定治具のガタつきを疑い、校正状況を確認する重点
  • 作業者間・再現性(測定者によって値が変わる)→ 測定手順書の曖昧さ、持ち方・当て方のクセ、教育不足を疑う重点
  • 部品間(測定対象そのもののばらつきが小さすぎる)→ 評価に使うサンプルの選定を見直す(工程の実際のばらつき幅をカバーする複数個を選ぶ)
  • 環境要因(温度・振動・照明)→ 測定場所・時間帯を変えて再評価し、環境影響の有無を切り分ける
  • 切り分け後、原因に応じて「測定器の改善/手順の標準化と教育/評価方法の見直し」のいずれかを実施し、再評価して%GRRの改善を確認する重点

改善を続けても%GRRが下がらないときの判断

  • 測定器の改善・手順の標準化・教育を一定回数(目安:2〜3回)試しても%GRRが基準内に入らない場合は、改善を続けるかどうかをいったん止めて判断する重点
  • 「この測定器・この方法ではこの特性を判定できない」と決める線は、改善サイクルの回数と期間の両方をあらかじめ決めておく(回数だけでは引き延ばされやすい)重点
  • 判定できないと決めた場合の代替(より高精度な測定器への切替・外部機関への測定委託・全数目視等の別手段への切替・当該特性の合否判定自体の見直し)を用意する重点
  • 代替に切り替えるまでの間、暫定的にどの基準で合否を判定するか(安全側に厳しくする等)を明確にしておく
  • 「判定できない」と決めた記録・判断者・代替への切替日を残す

同じ読者向けの他トピック

T1新製品・量産立ち上げ(APQP/PPAP 的)T24M変更管理(人・機械・材料・方法)T3工程・検査基準の制定/改訂T4設備の導入・改善T5工程能力・初期流動・データ活用T6化学物質・環境法規の設計織り込みT7不具合の再発防止と設計・標準へのフィードバックT8治具・型・設備の維持管理T9設備保全とデータ活用(予知保全の入口)T10検査の自動化・AI外観検査導入の進め方T11工程FMEA(PFMEA)の作成と活用T12統計的工程管理(SPC)・管理図の導入と工程能力の見える化T13トレーサビリティ設計(ロット管理・識別の作り込み)T15品質業務のノーコード自動化の進め方T16生成AIを品質業務で安全に使うT17試作品の品質評価依頼の出し方T18工程データの品証への共有ルールT19顧客規格から社内管理値への落とし込み方T20工程条件変更の社内実験計画の立て方T21検査基準書の作り方T22検査データの統計処理でやりがちな誤り5類型T23図面・仕様書に書ききれない「暗黙の要求」の拾い方T24過去トラブルの再発防止策が現場で守られているかの確認T25試験・測定を外注するときの相手の見方T26生成AIが出した不良原因の答えの扱い方T27試験・検査の結果が規格ぎりぎりのときの扱いT28根拠の記録が残っていない社内基準に出会ったときの扱いT29測定方法を変えるときの同等性の示し方T30顧客へ検査の生データ(測定の生値)を求められたときの扱いT31自作治具・簡易測定器を検査に使うときの確認T32抜取検査の水準を顧客と決め直すときの進め方T33測定値の丸め方・有効数字で社内と顧客の解釈が割れたときの揃え方T34社内の検査データを外部に出す前の匿名化・加工の線引き
最終更新日:2026-09-24