F8顧客監査の直前に記録の一部が揃っていないと分かった場面
状況:翌日に予定されていた顧客監査の準備を進めていたところ、対象工程の検査記録の一部(数か月前の一時期)が見当たらないことが前日夕方に判明した。担当者は「監査までに何とか探し出せないか」と一晩延ばすことを考えたが、時間が足りるか分からない状態だった。
判断ポイント:①見つからないまま監査を迎えるとしたら、隠さずにその事実を先に監査側へ伝えるか、直前まで探し続けて当日ぶっつけで対応するか。②当日その場で聞かれたときに、何が分かっていて何が分かっていないかを、どの順番で説明するか。
とった行動:前日のうちに品証の責任者へ報告した。探し続ける時間と監査当日を迎えるリスクを比べ、「見つかっていない事実を監査冒頭で先に伝える」方針を決めた。D3の「記録が出てこないときの対処」の型に沿い、その場で期限を切って伝える判断を前倒しした形である。当日は対象記録の範囲(期間・工程)を明確にした。そのうえで、運用自体は実施していたことを示す周辺記録を代替の裏付けとして提示した。あわせて、提出期限は監査当日ではなく、実際に確認・整理にかかる日数を見込んで申し出た。
結果:先に事実を伝えたことで、監査側の反応は「なぜ無いのか」より「今後どう防ぐか」へ移った。その場での想定問答も成立した。一方、代替の裏付けだけでは「記録として十分か」という指摘が別途ついた。後日の是正報告では、保管ルールの見直しまで説明が必要になった。
学び:見つからない記録を当日まで隠して探し続けると、見つからなかった場合に信頼そのものを損なう。D3の型どおり「その場で期限を切って伝える」判断は、前日の時点でも早いほど良い。B12(記録不備・データの信頼性に疑義があるときの対応)の「事実確認を淡々と行う」姿勢は、自分たちの記録不備を監査側へ説明する場面でもそのまま使え、D5の保管ルールの見直しが最終的な再発防止になる。
※本事例は架空の場面を一般化したものであり、特定の組織・案件を示すものではありません。