ものづくりポータル
ものづくりハンドブック
トラブルシューティング/法改正・規制物質の新規指定への対応漏れ
🧯 トラブルシューティング症状から引く

TS26法改正・規制物質の新規指定への対応漏れ

症状

化審法・労働安全衛生法・REACH等の改正で規制対象物質が追加・変更されたのに、社内の該非判定・SDS・含有調査の更新が追いつかず、禁止物質の使用継続や情報伝達の不備といった法令違反リスクが生じる。

規制物質の新規指定への対応の流れ:公表→該非判定→SDS更新→社内展開→記録の5段階
規制物質の新規指定への対応の流れ:公表→該非判定→SDS更新→社内展開→記録の5段階

まず確認(初動)

  • どの法規・どの改正か(例:化審法の第一種特定化学物質の新規指定、安衛法のSDS交付対象拡大、REACH SVHC追加)と施行時期を特定重点
  • 対象物質を自社の取扱・含有リスト(原料・副資材・購入品)と突合し、該当有無を切り分け重点
  • 該当ありなら、在庫・仕掛・出荷済み範囲と代替可否を保留のうえ確認

起こりやすい要因(4M)

区分よくある要因
方法官報・行政サイトの定点確認が仕組み化されていない、改正情報の入手が属人的
該非判定・SDS更新の担当・期限が不明確、変更点の社内周知漏れ
材料サプライヤーからの成分情報が未更新、含有調査(chemSHERPA/IMDS)の回収遅れ
機械物質リスト・台帳がシステム化されておらず、横断検索・影響範囲の特定が困難

切り分け・確認

  • 改正の一次情報(経産省・厚労省・ECHA等の公式)で対象物質・濃度・期日を確認(伝聞で判断しない)重点
  • 該当物質を含む製品・工程・顧客を洗い出し、影響範囲を可視化
  • 代替品・除外の可否、顧客への情報伝達義務(REACH第33条等)の要否を確認

規制の「型」を見分ける(対応の重さが変わる)

求められる対応時間軸
情報伝達型REACH SVHC候補リストへの追加(0.1wt%超で情報伝達・届出義務)該非判定・SDS/含有情報の更新と伝達。使用自体は直ちに禁止されない比較的短期で対応可
使用制限・禁止型化審法の第一種特定化学物質への指定(原則、製造・輸入が禁止)代替材料への切替が必要。材料選定・評価・顧客承認まで含む長期。前倒し着手が必須
  • まず自分が直面しているのがどちらの型かを判断する。禁止型は「情報を直す」だけでは終わらず、代替検討(TS29)と顧客への仕様変更相談(S8)まで波及する重点
  • 禁止型は施行日から逆算し、代替品の評価・量産妥当性・顧客承認に要する期間を見積もる。指定の公表時点で着手しないと間に合わないことがある重点

恒久対策の方向

  • 規制情報の定点観測を仕組み化(担当・頻度・チェック先を明確化し、施行前に前倒しで着手)
  • 取扱物質台帳と該非判定・SDSを紐づけ、改正時に横断検索で影響範囲を特定できる状態にする
  • サプライヤーへの含有調査の定期化・更新ルール化、社内周知フローの標準化
  • SVHC候補リスト(ECHA)は年数回の更新がある前提で「更新の型」を持つ:確認頻度・確認先・該当なしも記録に残す(見落としの証跡化)重点
  • 含有調査はchemSHERPA等の最新版で回し、SVHC追加時はサプライヤーへの再依頼期限を先に決めておく(回収遅れの防止)重点

該非判定書・chemSHERPAデータを受け取ってからの社内展開

サプライヤーから該非判定書やchemSHERPAデータを受け取った後、確認せずにファイルへ格納するだけでは、実際に必要になったときに使えない状態になりやすい。受領時点で次の3点を確認し、社内へ展開する型を持つ。

  • 対象物質・対象部材が、自社が確認したい範囲と一致しているか(部材の型番・版数がずれていないか)重点
  • 回答日・データのバージョンが最新の依頼内容に対応しているか(古いバージョンの使い回しになっていないか)重点
  • 「該当なし」の場合も、どの物質を対象に確認した結果かが明記されているか(無回答と「該当なし」を区別する)重点

不備時の差し戻し文例

  • 文例:「ご回答いただいたデータを確認したところ、〇〇(部材名)の対象物質欄が未記入でした。恐れ入りますが、対象物質ごとに含有有無をご記入のうえ、再度ご提出をお願いいたします。」

「該当なし」の記録の残し方

  • 「該当なし」という回答も、確認した物質リストの版・確認日・回答者とあわせて台帳に記録する(同じ問い合わせが再度来たときに使い回せる形にする)重点
  • 記録が無いまま口頭やメール本文だけで「該当なしと聞いている」状態にしない

再依頼期限の先決め

  • サプライヤーへ再依頼する際は、顧客側の回答期限から社内の確認・集計に要する日数を逆算し、再依頼の期限を先に決めてから連絡する重点
  • 期限までに回答が無い場合の督促タイミング(例:期限の数日前に一報)もあわせて決めておく
最終更新日:2026-09-24