F4新人検査員の見逃しが後工程で発覚した場面
状況:配属後まだ日が浅い検査員が担当した工程で、規格外れの製品が後工程まで流れてから発覚した。当該検査員は検査手順どおりに検査したと説明したが、判定が分かれやすい境界線での判断を誤っていた。周囲は「経験不足だから仕方ない」と個人の力量の問題として片づけようとした。
判断ポイント:①個人の経験不足で終わらせず、検査条件(照明・治具・限度見本の状態)・力量認定の基準・作業標準の三方向から見えていない原因がないかを確認すること。②再発防止を「もっと注意する」で終わらせないこと。
とった行動:まず検査条件を確認した。限度見本の一部が更新されておらず、判断が分かれやすい境界線のサンプルが手元になかった。次に力量マップ(E3)を確認した。当該検査員はこの判定項目について「指導者がそばにいればできる」レベルにとどまり、単独判定を任せる基準に達していなかった。作業標準(M8)にも、この判定項目について「迷ったら上位者に確認する」旨の記載がなかった。確認を促す仕組みが標準に組み込まれていなかったことになる。三方向それぞれを是正の対象とし、限度見本の更新、単独判定範囲の見直し、作業標準への確認ルール追記を並行して進めた。
結果:三方向(検査条件・力量・標準)に分けて確認したことで、検査員個人の注意力の問題ではなく、限度見本の更新漏れと標準の記載不足という仕組み側の課題が明確になった。一方で、力量マップの単独判定範囲の見直しは他の検査員の判定範囲にも影響するため、現場との調整に時間がかかった。
学び:見逃しが起きたとき「経験不足」で片づけると、次に同じ境界線の判断を任される人が同じ間違いを繰り返す。M8(作業標準の順守と力量)・E3(力量マップ)・M10(ヒューマンエラー防止)の型を組み合わせ、検査条件・力量・標準の三方向から見ることで、個人の責任に着地させずに仕組みの穴を見つけられる。
※本事例は架空の場面を一般化したものであり、特定の組織・案件を示すものではありません。