D2測定器・校正・MSA管理
目的
「測れていない」状態は不良の見逃しと同義。校正切れ・測定ばらつきを仕組みで防ぎ、測定の信頼性を担保する。台帳の列設計と、期限切れ発覚時の遡及範囲の決め方は下図のとおり。
- 校正計画と有効期限の管理(期限切れ使用ゼロ)重点
- 校正ラベル・識別
- 社内校正/外部校正の区分と基準器のトレーサビリティ
- 使用前点検(ゼロ点・ばらつき)
- MSA(Gage R&R・バイアス・直線性)で測定の信頼性を確認重点
- 測定環境(温湿度・振動)の管理
- 不適合測定器の処置と遡及調査(その器で測った製品の扱い)重点
- 記録の保管
校正計画表のテンプレ項目
| 項目 | 記入内容の例 |
|---|---|
| 測定器ID・型式 | 管理番号、メーカー・型式 |
| 校正周期 | 〇か月/年(社内基準または製造元推奨) |
| 前回校正日・次回予定日 | 前回:〇年〇月〇日/次回:〇年〇月〇日 |
| 校正区分 | 社内校正/外部校正(校正機関名) |
| 基準器・トレーサビリティ | 使用した基準器の管理番号、国家標準への追跡可能性 |
| 判定 | 合格/要調整/不合格 |
| 使用中止・復帰の記録 | 中止日・理由、復帰日・確認者 |
期限切れを発見したときの対応手順(テキストフロー)
- その場で測定器の使用を止める(校正切れのまま使い続けない)重点
- いつから期限切れだったかを特定する(前回校正日からの経過を確認)
- その測定器で測定した製品・ロットを洗い出す(遡及調査の範囲を確定)重点
- 品証へ報告し、遡及調査の要否・範囲を判断してもらう
- 校正を実施し、合格を確認してから使用を再開する
- 校正切れが発生した原因(管理漏れ・台帳の不備等)を確認し、再発防止策を検討する
NG例
- 「前回問題なかったから」と校正切れのまま使い続ける重点
- 遡及調査をせず、校正が済んだ時点から測定を再開する(切れていた期間の製品を確認しないまま流出させるリスク)重点
校正管理台帳の列設計(更新漏れを構造的に防ぐ)
校正計画表(上表)が測定器1台ごとの個票なら、校正管理台帳は測定器を横断して一覧管理し、更新漏れをその場で見つけるための仕組み。台帳の列設計自体に漏れを防ぐ工夫を入れる。
- 台帳に「状態」列を設け、通常使用中/貸出中/修理中/予備品/廃止のいずれか1つを常に選ぶ形にする(複数状態の併記を許さない)重点
- 「次回校正予定日」列とは別に「アラート発報日(次回予定日の一定期間前)」列を設け、期限当日ではなく事前に気づける設計にする重点
- 状態が「貸出中」「修理中」の測定器は通常の校正周期管理から外れがちなので、復帰予定日・復帰後の校正要否を台帳上で追跡する重点
- 台帳の更新責任者(誰が状態変更を反映するか)を1人または1役割に決め、複数人が別々に更新して食い違う状態を避ける
- 台帳の記載と現物(校正ラベル)が一致しているかを定期的に突合する(台帳だけ更新され、現物ラベルが古いままの食い違いを防ぐ)重点
貸出中/修理中/予備品の扱い
| 状態 | 台帳上の扱い | 復帰・使用再開時の確認 |
|---|---|---|
| 貸出中 | 貸出先・貸出日・返却予定日を記録し、校正期限の管理は継続する | 返却時に校正期限が切れていないかを確認してから現場へ戻す |
| 修理中 | 修理理由・修理先・修理期間を記録し、通常の校正周期のカウントを一時停止する | 修理後は校正を実施し、合格を確認してから「通常使用中」に戻す |
| 予備品 | 現場投入前は校正周期のカウントを開始しない(または長期保管用の点検周期を別途設定する) | 現場投入時に、保管中の劣化を含めて校正の有効性を確認してから使用開始とする |
期限切れが発覚したときの「さかのぼり範囲」の決め方
上の対応手順の3.「その測定器で測定した製品・ロットを洗い出す」を、どこまでさかのぼるかで迷わないための考え方。
- 起点を「前回の正常な校正確認日」に固定する(発覚日からではなく、確実に正常だった最後の時点から数える)重点
- 起点から発覚日までの間に、その測定器で判定した全ロットをリストアップする(使用記録・検査記録から追跡)重点
- リストのうち出荷済みのものを最優先で洗い出し、品証へ即報告する(M4のさかのぼりの考え方と同じ順序)重点
- さかのぼり範囲を「一部の疑わしいロットだけ」に絞り込まない(絞り込みは全量を洗い出した後、判断材料が揃ってから行う)
- さかのぼり調査の結果(対象ロット数・処置内容)をD5の記録管理ルールに沿って残し、次回同様の事象が起きたときに参照できるようにする