F6特採(特別採用)を繰り返すうちに実質の基準が動いていた場面
状況:ある部品で、規格からわずかに外れた特性値が出るたびに「今回だけ」の特採判断が重ねられていた。個々の判断は都度の記録が残っていたが、半年後に振り返ると、当初の規格に対して実質的な合格ラインが緩い方向へ動いていたことが分かった。
判断ポイント:①特採を重ねるたびに「前回も通した」という理由が判断の主な根拠になっていないか。②個々の記録は残っていても、積み重なった結果として基準がどう動いたかを俯瞰する仕組みがあったか。
とった行動:過去の特採記録を時系列に並べ直し、特採を許容した特性値の推移を確認したところ、緩やかに規格の外側へ寄っていく傾向が見えた。是正として、特採の可否判断に「今回の値」だけでなく「直近の特採実績の推移」を必ず添える運用へ変更した。加えて、一定件数・一定期間ごとに特採実績をまとめて棚卸しし、実質の基準が動いていないかを確認する場を新設した。
結果:個々の特採判断の妥当性を都度議論するだけでは基準の緩みに気づけないことが明確になった。一方で、推移の確認を毎回添える運用は判断者の手間を増やすため、定着には時間がかかる見込みが残った。
学び:特採は個別の判断としては妥当でも、積み重なると基準そのものが動いてしまうことがある。C11(生産終了時の判断)・D5(記録の管理)・B6(顧客連絡の要否判断)の型と組み合わせ、「今回だけ」の判断を集計して振り返る仕組みを持つことが再発防止の核になる。
※本事例は架空の場面を一般化したものであり、特定の組織・案件を示すものではありません。